舞台上の観客 | ナノ
×
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
「火影さま、砂からの使者が到着しました」
「砂ァ?この忙しい時になんの用…ああ、そうか。名字名前のことで調べたいことがあると、連絡が来ていたな」


火の国、木の葉隠れの火影室にて。
木の葉隠れの額宛てをした案内の者の後ろには、三人の、砂隠れの額宛てをつけた忍。

五代目火影の綱手は、机の中から一つの巻物を取り出すとそれを砂隠れの者に投げた。


「ホラ、その巻物には名字名前の眼についてのことと、あの娘のチャクラの、謂わばサンプルが確かめられる」
「ありがとうございます。直ちに五つほど、複製させていただきますので」


その言葉に、綱手は少し面倒臭そうに眉を寄せる。


「いくらなんでも、五つは作りすぎじゃないか?」
「いいえ、もしもの時の為、五つくらいは必須です。…それでは、明日にはお返し出来るかと思います」


眼鏡をかけ直す仕草をすると、背筋を伸ばして火影室を出ていった砂の者。

火影は嫌そうに、顔の片方だけを歪めた。


「ったく、風影もまた面倒な奴を寄越したな」
「――火影さま!」
「ああ、今度はなんだ!?」


すると勢いよく開けられた扉に、苛立ったふうに対応する綱手。
普段なら怯むような綱手の反応に、けれど扉を開けた者は変わらず緊迫した様子で、口を開いた。


「上空から、侵入者です!」












――木の葉襲撃、並びに、九尾の人柱力、うずまきナルトの捕獲…このことに関して私が視た未来は、三つ。


木の葉の外から、ところどころに煙の上がっている、里を見る。

もう既にリーダーと小南さんは侵入し、そうして捜索しているところらしい。

風に乗って聞こえてくる悲鳴に、目を細める。
風に乗って香ってきた火薬の匂いを吐き出すように、息をついた。


現在…ここから未来への道は三つある。
一つ目は、ナルトを無事捕獲出来る道。
二つ目は、リーダーと小南さんが負け、ナルトが勝ち、従って捕獲失敗の道。
そして三つ目は、ナルトの捕獲は出来ず、そうして、長門さんが輪廻転生を行う道。


どの未来も、同じ頻度だけ視た。
だからきっとどの未来も、同じだけ起こりうる。
本当に些細なことで、どの未来にもなりうる。


三つ目の未来以外だと、木の葉に住む一般の人達、それに忍にも、たくさんの被害が出るだろう。
けれど三つ目の未来の時きっと、長門さんは…。


私は少しうつむいた。


「あの、マダラさん、違うんです」
「違う?」
「はい、リハーサルとは言っても、対象は火ではなく…木の葉そのものです」


また、爆発音が聞こえる。


「名前、お前は知っているハズだ。あの術を使い、そしてそれだけで、死んでしまったお前の一族の者を」
「その左眼で見たハズだ。あの術は、生きている中でそう何度も使えるわけじゃない。そして今は、使う時期じゃない」


「とりあえず、行こう」


煙が上がったり、建物が欠けていたり、そんな里を真っ直ぐに見て、私は地面を蹴り、里に侵入した。





120201