舞台上の観客 | ナノ
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「おい、アンタ!」
「…?ああ、香燐」
「ちょっと、こっち来い」


アジトの中を歩いていると、前方の部屋の扉が香燐が顔を覗かせて、私を手招きした。

首を傾げながらもその部屋に入った私は、扉を閉める。

香燐は右手で眼鏡をかけ直すと私をジロッと見た。


「アンタ、名前とか言ったな。暁のメンバーで、木の葉隠れの抜け忍」
「大蛇丸のアジト監獄の管理人、香燐、だったよね。よろしく」
「ふん、ヘラヘラ笑いやがって。別にウチは、アンタとよろしくするつもりなんかないからな。…それよりお前、サスケとはどういう関係なんだ?アンタを見た時のサスケの反応が、」


そこで私はハッと息をのんで、香燐の首に目をやった。
というより、そこに目が釘付けになった。


「おい、なんだよ?どうして目を逸らした!…まさか!」


歯形、だと…?
香燐の首元に、いくつもの、歯形が。
こ、これはどういうことだろう…ハッ、まさか!


「お前、サスケと同じ班だったとは聞いていたけど、まさか、それ以上の関係…?!」
「香燐、どうして香燐が鷹に入ったのかは知らないけれど…抜けた方が、いいんじゃ」
「ハァ?!サスケからウチを離そうって魂胆かよ!やっぱりアンタ、ウチの敵か!」
「て、敵?敵というより私は香燐の、」


「これ…どうしたんだ」
「ええと、別に…」
「隠すんじゃねえ」
「…あの、蛇にやられて…」
「……蛇?」
「う、ん。そうだよ」
「…毒は」
「毒はあったんだけど、ネジさんが毒抜きしてくれて…」


――昔、中忍試験に参加した時のことが脳裏に浮かぶ。
サスケに、傷口を噛まれた時のこと。

あれはかなり痛かった…けれど香燐には歯形が残ってる。
しかも、かなりの数が。


「香燐の…香燐と同じ経験を…同じ立場、というか」
「だからそれはつまり、敵ってことだろうが!」
「い、いや確かに同じ経験があるとは言え、私がされたのはただの制裁で、同じ立場と言うのはおこがましいんだけれど」


けれど私の場合は制裁だとして、香燐の場合は…まさかサスケ、ヤンデレ疑惑が…?
サスケは元々、ツンデレ気質だったけれど…それに、ヤン、も加わったのかな…。
けれど香燐が、サスケを、というかヤンデレ気質の人がタイプなら…鷹からは、抜けてくれないよね。


「香燐は、サスケのことが好きなの?」
「ハァ?!さっきからその話をしてるんだろうが!」


目を丸くした私に、香燐は頬を染めるとハッとして。


「べ、別にウチはサスケのことなんて、好きでもなんでもないけどな」


た、鷹は、ツンデレ率が高そうだけれど大丈夫なのかな。
このままじゃ世界は、いや、言い過ぎた。
鷹は、ツンが飽和して大変なことに…。





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