舞台上の観客 | ナノ
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「さっきはごめん。名字名前だよ、よろしく」


――マダラさんの計らいのおかげで、自室で大分休むことが出来た私は、また時空眼の状態になり部屋を出た。

そして音を頼りにアジト内のある部屋に来ればそこには、天秤の重吾。
それに、霧隠れ出身、鬼灯兄弟の片割れという水月の二人が居て。
にっこりと笑うと、水月という人が目を丸くした。


「へえ、驚いた。暁ってS級犯罪者の集まりだから、それ相応に、それこそ鬼鮫先輩みたいなのばっかかと思ってたけど、…アンタみたいなのも居るんだね」
「ああ、うん、私にはこれと言って特徴はないからね。その点鬼鮫さんはすごいよ」


人間と鮫の共存、というか…鬼鮫さんはつまり、人魚姫のようなものなんだろう。
いやはや、生ける伝説。
天然記念物?だよ。


「名前、だっけ?もしかして君、鬼鮫先輩のこと尊敬してたりするの?」
「うん、もちろん」
「へえ、そうなんだ。でもごめんね、最終的に鬼鮫先輩は僕が倒して、フカヒレになっちゃうから」


私は慌てて、両手のひらを水月に向けて振る。


「い、いや、それはやめておいた方が、」


だって人魚姫のような生ける伝説を狩ってしまえば、国レベルで騒動になってしまうと思うんだ。
こう、天然記念物やらは守らなきゃならないから…。


そこで私は少しハッとした。
水月を見る。


「もしかして水の国には、鬼鮫さんみたいな存在が…というか、そういう存在を狩ることが、よくあるの?」


もし水の国に、鬼鮫さんのような存在が少なくないのなら、希少価値はあまり高くなくて、簡単に狩れる…ということなのかな。


「ああそうか、名前は木の葉隠れ出身だっけ。まあ霧隠れの里はかつては、血霧の里、なんて呼ばれてたからね。結構あり得ることだよ」
「おい水月、名前は鬼鮫、とかいう奴のことを尊敬しているんだろう。あまり軽々しくそういうことを言うな」


重吾の言葉に水月は肩を竦め歯を見せて笑う。


「お堅いねえ、大体僕がサスケに着いてきたのは、大刀を集める為なんだよ?」


重吾はため息をつくと、私に視線を移した。


「水月が悪いな。俺は重吾だ、よろしく」
「名前だよ、よろしくね。…重吾はどうして、鷹に?」


すると重吾はどこか遠くを見るようにした。


「サスケは俺の、檻なんだ」


なん、だと…?





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