舞台上の観客 | ナノ
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五代目の言葉に、私は目を見張って、ナルト、サクラ、カカシ先生、そして立ち並ぶ他のみんなを見回していく。


私を信じる、言葉…。


「――名前」
「紅、先生」


すると紅先生に名前を呼ばれて先生を見ると、紅先生は泣きそうな顔のまま、


「イズモとコテツはしょうがないわ、けど、アスマが本当に生きているってことを、火影様以外に私にしか伝えなかった理由は何?」
「…」
「シカマル達は分かるわ、角都や飛段を倒す時の未来に、この子達を視たんでしょう。…まあ、それもこの仮説をあなたが違うと吐き捨てれば、無くなってしまうけど」



「あの三人には上手く誤魔化しておいたわ…ちょうど直ぐに任務だったし…。でもね、何で名前ちゃんが気づいているのかが…――」
「やっぱり紅先生は、アスま゛ぐぶっ」



「でも、そんな難しいことを抜きにしたとして、――私には絶対に、分かることがあるのよ…!」


名前、ともう一度私の名を呼んだ紅先生のあかい瞳が暗闇の中で反射して。


「シカマル達が暁を倒して、そして、アスマが生きていたってことを知らされるまでの間…その数日でも、私を悲しませたくなかったからじゃないの?」


その綺麗さに、私は思わず息をのんだ。


「これをしたのが名前以外だったなら、私は自意識過剰なのかしらって、そりゃあ思うわよ。――でも名前、あなただから」



「はい。でも紅先生、私、紅先生とアスマ先生は、お似合いだと思いますよ」
「…ほ、本当に?」
「はい、本当に、です」



「誰かのことをとても想う、あなただから…!!」


紅、先生…と私は困惑したように眉を寄せた。

涙を流した紅先生の肩を、アスマ先生が抱く。

それを見て私は唇を噛みしめた、――本当は咳をしたかった、けど、今はシカマルの影真似の術で縛られていて、手を口元にあてられなかったから。
必死で唇を噛みしめる、けれどそれも危ういから、時空眼の巻き戻しの作用で影を消そうかと視線を戻して


「――名前、時空眼を使うのはよせ」


けれど、カカシ先生の言葉にハッと息をのむ。
カカシ先生は眉を寄せ、下げながら


「その眼は、使うだけで、身体に負担がかかるんだろう。それに、ここに居る誰一人として、お前をもう、暁へ行かせたくはないんだよ」


――我愛羅から一尾を抜いた時…風の国でナルト達と再会してから、私は、分からなかった。
何が分からないかも、本当に、分からなくて。
けど、ナルトや、サクラや、カカシ先生の言葉が、私に向かっていて…。
――会話の言葉、なんてことじゃない。
言葉という枠組みに入って、真っ直ぐに、私の心臓に響いてくる。


「私は、木の葉の…」



「里とかは、関係ねぇってばよ。名前、お前は俺の、――やっと出来た、大切なつながりだから…!」



カカシ先生の、暁に行かせたくない、という言葉に、動揺したまま説得するような気持ちで言いかけて、けれど風の国でのナルトの言葉が頭に響いて、ハッと息をのんだ。

カカシ先生が優しく、少し笑う。


「名前の一族の過去を俺は知らないから、名前が木の葉の忍じゃないっていうのは、本当のことかもしれない」
「…、…」
「けど、名前。お前は木の葉のことを、そしてそこにつながり生きる者達のことを、昔と変わらず、想っているんだろう」



「それは、アスマが死んだと前提した上でのこいつらと、暁との戦いが、木の葉にとって最もいい未来だと、お前がその眼で視たからだろう」



「なら名前、それは木の葉の忍だと、俺は思う」


カカシ先生がにっこりと、笑った。


「名前は、俺の大事な、第七班の仲間だよ」





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