舞台上の観客 | ナノ
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「――角都さんと飛段さんは、先に飛んでいて下さい」


――アスマ先生の心臓に突き刺したままのクナイ。
それに手を添えたまま後ろを振り返って、角都さんと飛段さんににっこりと笑う。


「とどめをさします、けれど、私も直ぐに行きますから」
「おいズリィぞ!それなら俺だって…!」
「行くぞ飛段。――木の葉の連中…また直ぐに戻る、覚悟はしておけ」
「おい掴むなよ角都!俺も儀式を…!」


どろん!と音を立てて、そして白煙を立てて。
角都さんと飛段さんは瞬身の術で、この場から消えた。


「――さて、」


二人が居なくなったことによって、その先――木の葉の二人の忍とシカマルが視界に入る。
相も変わらず呆然としたままのシカマルを見て、私は思わず、笑ってしまった。


――私、思っていたよ。
シカマルは――絶対にかっこよくなると、ね…!!
いや、私が木の葉に居た頃からかっこよかったのだけれど更に、外面にも男らしさが滲み出ているというか…。
やっぱり身長も、ナルト達と同じように、伸びているようだしね。


「名前…お前……本当に暁に、染まったのかよ…!」


けれど私も、気が緩んだせいか口元まで緩んでしまった。
普段なら咳で誤魔化すところを隠しもせずに笑ってしまったよ。


危ない危ない、と口元を引き締める。


「アスマを刺して…!」
「やめろシカマル!もう分かってんだろ、お前にも…!」
「名字名前は里を抜け、暁に入った犯罪者だ…!」

「――そこの、二人」


シカマル以外の、木の葉の額宛てをつけた二人の忍。


「そうです、あなた達です。――こっちに来てください」


にっこりと笑うと何か言おうとする彼らに、私は掴んだままのクナイを握りしめて、更にアスマ先生の心臓へと深く刺そうとする。


「申し訳ないですが、あなた達に拒否権はありません」


――苦々しげに歯を食いしばったり、唇を噛む二人が、歩いてくる。

そうして近くまで来た頃に、私は印を結んだ。


「――響遁 重音の壁」


 シカマルに向けた手のひらを、横に少し払うと、シカマルの身体が周りの空気に圧されて、勝手に回転する。

そうしてシカマルの背中がこちら側に向くようにさせてから、また、印を結んだ。


「――響遁 私音の消失」


私はまた、手のひらをシカマルに向けて――そうして、口を開いた。










――――数分後、指の先すら動かせない状態が急に、フッと解けて。


「シカマル!」


それと同時に、今まで聞こえてこなかったイズモとコテツの声が鼓膜に響き、シカマルは慌てて振り返った。


「イズモさん、コテツさん!いったいこの数分間で、何があったんスか…!」
「お、俺達にも分からないが…とにかく早く!木の葉へ帰ってアスマ隊長を綱手さまに診せるぞ!」
「待ってください!近くには、いの達の班も居る。里に帰るより、早くいのに応急措置をさせた方が…!」
「いや、それは…駄目だ!」


煮え切らない態度の二人にシカマルが思わず声を上げる。


「どうして…!」
「、いのの応急措置じゃ間に合わない」
「ああ、綱手さまに、診せるんだ!」





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