舞台上の観客 | ナノ
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――――つながり…。
人間、動物、里――それらすべての区別なんて無しに、大切な誰か、何かとをつなぐ、輝いている、けれど目には見えないもの…。

それが分からないなんてことはない。
だってキラキラと淡く輝くその糸を、私は数え切れないくらいに見たことがあるから。

ナルト、サクラ、サスケ、カカシ先生、木の葉の人達、関わった全ての人達。
――出逢うたびにナルト達は、その素敵なつながりをどんどん増やしていっていた。



「名前、お前は俺の、――やっと出来た、大切なつながりだから…!」



けれど私は、まさか、私がそのつながりの中に含まれている――私もみんなと、つながっているなんて――思ったこと、なかったんだ。
だって、なんで、私は――。


ドクン、ドクン…!
心臓が強く動いている。


「わ、私は、――暁を抜けるつもりは、ない」


ほとんど無意識の内に、息を荒くしながら言った言葉に、ナルト達は眉を寄せる。

私は両眼の時空眼、現在の時空への作用で、ほんの数秒だけ、みんなの時間をとめた。


「なっ、なんで…!」
「身体が、動かねぇ…!」
「また、その眼か…!」


そしてその間に私は三人の間から抜けて、空に立つ。
――再び時間を動き出させたとき、慌てて私を見あげてきたナルト達に、有無を言わせない勢いで言おうとして、



「名前、お前は俺の、――やっと出来た、大切なつながりだから…!」



けれど、何て言えばいいのか……何と言ったなら合っているのかが分からなくて、私は思わず躊躇した。


「名前…!!」
「私は――暁を抜けるつもりはない」


だから、確かな真実、確かな未来だけを伝えて――瞬身で、その場を去った。








「名前…!!」


――ナルトが声を上げるも、もうそこに名前の姿は無い。
気配を探ってみても既に、分からなかった。


「…っ、く、そ…」


つながりを、手繰り寄せられなかったこと。
変わってしまった名前を、変え戻すことが出来なかったこと。

それらが悔やまれて、ナルトは顔を歪める。
サクラは頬を伝う涙を知りながらも、とめることは出来ずに目をぎゅう、と瞑った。


「――…ナルトもサクラも、そんなに落ち込むな。名前はもう、今はここには居ないけれど……新しい情報がたくさん手に入っただろう」
「…っ、…っ」
「それを元にすれば、次は絶対につかまえられるさ。お前らが、俺が…名前のことを、諦めないかぎりね」



「今はまだ全然頼りないけど…強くなる!強くなって、絶対名前を連れて帰るから!」



「サスケと名前が里を抜けたあの日に、誓った筈だ」



「自分の言葉は曲げねぇ!それが俺の忍道だ!」



「自分の忍道と、共にね」


――カカシのその言葉に、ナルトは歯を食いしばり、サクラは涙を拭う。


「当たり前だってばよ!」
「名前も、サスケ君も、諦めることなんて、絶対にしないわ!」


カカシはにっこりと笑った。


「――うん、俺もだよ、ナルト、サクラ」





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