舞台上の観客 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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息を荒くしているナルトと、そんなナルトを支えているカカシ先生。
そして二人の後方にある木の上では、目を閉じたままの我愛羅を見てブルブルと震え、手を握りしめているナルトの影分身の姿――。

後ろから聞こえた足音に振り返ると、サクラと、サクラに支えられている砂の相談役のチヨバア様が立っていた。


「!名前…!」


私を見て真剣な表情に変わったサクラへと、走っていく。

――チヨバア様を支えているサクラには、チヨバア様を連れたまま一旦引く選択肢しかない。
だからサクラはチヨバア様を支えたまま飛び上がった。

それを読んでいた私は、サクラと同じタイミングで地面を蹴って――。


「ゥアッ…!!」


チヨバア様にタックルするようにしてサクラとチヨバア様を離して、そうして回し蹴りでサクラを、ナルト達の方へと蹴飛ばした。


「――響遁 重音の壁」


地面に着地してから、印を組む。
ナルト、サクラ、カカシ先生に向けた手のひらを、そうして地面へと向ける。

私の手の動きと一緒に、ナルトら三人は、音の作用によって重くなった圧力を受けて、一気に地面へと伏せた。


「――サソリさんの毒を、受けましたか」


うめき声を上げたナルト達から視線を、苦しそうな表情のチヨバア様へと移す。

答えないチヨバア様は、けれどこの様子を見れば、ただの交戦からの疲労だけじゃなくて、何か毒を受けたことが分かる。


「や、めて…名前…!」


チヨバア様の前に膝を折ると、サクラがそう、声をしぼり出して言う。


「な、にを…するつもりかは知らんし、命乞いをするような性格じゃあないがのぅ…」


チヨバア様は、ぎゅう、と目を強く瞑った。


「頼む…!こんな老いぼれの命ひとつ、手にかけたってお前の足しにもならんじゃろう…!わしにはこれから、やらねばならないことが…!」
「――…響遁 私音の消失」


私は再び響遁の印を結ぶと、その術を、ナルト達三人に向けてかけた。


――私音の消失。
相手の聴覚に作用して、私に関わる音だけを聞こえなくさせる術だ。


何が起こったのか理解できていないナルト達を見ながら、チヨバア様が少し、目を丸くさせている。

私は再び、そんなチヨバア様へと向き直った。


「――新しい世代に何かを残す、伝えることは、まだ先でも大丈夫ですよ」
「…!お前…」
「チヨバア様が、まだ生きられるのなら――」


右の瞼を、下ろす。
左眼、――巻き戻しの作用。
巻き戻しの作用は、どこまでも戻すことが、出来る。


「生きることを、してください」


――作用を終えて、目をゆっくりと閉じる。

瞼の裏に浮かぶのは、視た、サソリさんの最期の情景。


「それがきっと、サソリさんの願いであって――」



「同じ班になった――だよ、これからよろしくね、チヨ」



瞼の裏に浮かぶのは、視た、いつかの情景。


「――みんなが、望んだことですから…――」


ゆっくりと目を開いて、私は、にっこりと笑った。





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