舞台上の観客 | ナノ
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ナルト、サクラ、カカシ先生…と、とても懐かしい面々をゆっくりと見据えていく。


「ゲホッ、ゲホッ…!」


そして、あまりの感動に胸がいっぱいになって、堪えきれなくなり咳をした。


ナルトもサクラも、カカシ先生――は、少しだけれど、みんなそれぞれ、変わった。
ナルトは背が伸びて男らしくなったし、サクラはさらに綺麗になった…。
ああ、時の流れって素晴らしいな…!


「名前、大丈夫か?お前は休んでていいぜ、うん」
「ああ…だからその眼、解いちまえよ…」


するとサソリさんの言葉に、カカシ先生が「――…眼?」と言った。


「…名前、そういえばお前のその眼、どうしたんだ。お前の瞳は、琥珀色の筈だろう」
「――カカシ先生が知る必要はありません」
「っ…名前、お前…本当に、何があったんだ」


カカシ先生が眉を寄せて、顔を歪める。
そんなカカシ先生の言葉に、私は首を傾げた。


「私はとくに何も、変わってはいませんよ」
「っ、嘘よ!名前、自分で気づいてないの?!すごく、変わっちゃったわ…!」


サクラが泣きそうになりながら言ったので、私は思わず目を見開いた。


私も、変わった…?
そ、そりゃあ確かに背は伸びたし、髪も長くはなったけれど、それくらいだ。
と、というかそれ以外に何か私は、酷い成長でもしてるんだろうか…?
だってサクラ、本当に泣きそうになってるぞ…?!


「おい、名前」
「はい、デイダラさん」
「いくら同郷だとしても、なんか変だな。お前、九尾の人柱力と同期だったりでもしたのか?うん」
「同じ班だったんですよ」


――すると、ナルトの身体から、紅い泡のようなものがボコッ…と膨れ上がった。


「同じ班だったって……なんだよ…!」
「!まずい、ナルト!」


私達が目を見張ると、咄嗟にカカシ先生がナルトの額に、封印の札のようなものを貼った。
紅い泡たちはその札に吸い込まれるようにして消え、そしてナルトの様子からすると、ナルトの体力やチャクラも一緒に、少し減ったみたいだ。


「名前、今のは…」
「はい、多分、九尾の力の一部だと思います。アレが進めば、いつかは尾獣化です」


目を細めると、ナルトは、カカシ先生に身体を支えられ、荒く息をしながら私を見て、


「いまだって…!同じ班の、仲間じゃねぇか…!!」


そう言った。
――サクラが、泣きそうな顔から、軽く首を振って、頷き、ナルトと同じように、真っ直ぐに私を見る。


「そうよ!私達、名前が里を抜けたって分かったあの日から、ずっとずっと、捜してた…!ずっと、想ってた…!だから絶対、今ここで、木の葉に連れて帰るわ!名前!」


――私は、あまりに驚きすぎたとき…思考だけでなく、表情までもが固まってしまう。
きっとそんな無表情で、私は口を開いた。


「――私なんかのことを、まだ捜していたの…?」


――皆には、物語がある。
そしてそこに、私は入っていない、というか皆が私を考える必要なんて、本当に無い。
なのに、みんなは……二年経った今でさえ、まだ私のことを、想って…?


ナルト達が、ぎゅうっと、眉を寄せた。






111006