舞台上の観客 | ナノ
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イチャパラ、ゲットだぜ!


ちゃーらっらっらっらー
らー(↑)
ちゃーららららららー
ちゃららーらーらーららららーら
ちゃららちゃららららー
ちゃっちゃらっちゃ!

たとえ火の中水の中、…と言えば、サトシはいつになったらポケモンマスターになれるんだろうか…。


カカシ先生のポーチから見事イチャパラをゲットした。

女性と男性が追いかけっこ…というか女性を男性が追いかけている…?
ううん、まあ女性と男性が走っている表紙のそれ。


――こ、このイラストがとても読書欲をそそる…!
…よ、ような、そうでないような…。
……何だかシュールだ。


未だにタズナさんと話しているカカシ先生に少し背を向けて、ぺらり、本を開く。


「名前、何してるの?」
「…サ、サクラ。カカシ先生には秘密ね」
「あ、これってカカシ先生がいつも読んでるやつね。ねね、私にも読ませて!」
「うん、もちろん」


向かいに座っていたサクラが隣に移動してくる。
私はサクラの方を向いて、サクラは私の方を向いて。

――ごくり。

何だかおかしな事だけれど、私とサクラは神妙な顔で、その一ページを――



「なぁにやってんの」



ギクッ!肩が揺れる。
ギギギ…とまるで壊れたロボットかのように首だけ回して振り向く。


「名前、サクラ」


ずもーんと影を落として迫力があるカカシ先生が、私とサクラを見下ろしていて。


「きゃ、」


きゃあー!と叫ぼうとしたんだろうサクラの口に慌てて手をやった。

私達は今、気づかれないように波の国へ向かっているのだから。

するとサクラの口を押さえる為に両手を使ってしまったから、イチャパラが手から抜けて船の上へと落ちた。
それをカカシ先生が取る。


「ったく…変なところで忍の才能発揮しなーいの」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。

そんなカカシ先生を見上げると、サクラに服の裾を引っ張られて、そっちを向いた。


「なーんか怪しいわよね。…あ!そういえばイチャイチャパラダイスって、18き」
「はーいサクラ、黙ろうねー。悪い奴等に気づかれちゃうでしょー」


後ろから伸びてきた手がサクラの口を塞ぐ。
振り向けばそれはカカシ先生で、私を見てにっこりと目尻を下げた。


イチャパラは18き…?
18き…18き…。
はっ…!
も、もしかして、イチャパラは18禁だとでも…?!
で、でもカカシ先生、いつも商店街とかでも普通に読んで歩いてるよな…。

文章だからまだいいけれど、絵や写真だったなら、カカシ先生は街中をエロ本読んで歩いてる人になってしまう…!

や、やっぱり18禁っていうのは考え過ぎだな…。
18き…18き…。














18規則性がある…!
いや、違うよね…。
イチャイチャするのに18の規則性が…無いよね。

18喜劇が収録…!
いや、違うかな…。
喜劇ならイチャイチャパラダイスなんて思いっきりラブストーリーな題名を付けないか…。


小舟から下りて、足で波の国へと向かっている。

その団体の後ろの方で、顎に手をあて考え込んではいるものの、全く分からない。
どうやら私の頭じゃあ無理みたいだ。

少し残念に思いながらも、ふっと力を抜いて思考するのを止めた、瞬間――



「全員伏せろ!!」



刺すような殺気、次いでカカシ先生の鋭い声。

半ば反射的に地に伏せると、私達の頭上を大きな首斬り包丁が旋回していった。


「へーえ。こりゃこりゃ霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃあないですか」






110418.