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標的がいる場所へと歩きながら任務の説明をし終えた私は、少し思考を過去に戻す。


どうして、本当は任務があるって気づかれたんだろう…。
「――任務は、しばらく無いんだ」
「怪我があるから、しばらく任務は、下されない。――任務が入ったら、言うよ…」

確かに任務は無いと言った筈なのに…。
「…名前さんって、ウソ、下手よね」
わ、私はそんなに嘘が下手なのかな。


「あの、そういえば名前」


すると雷蔵に遠慮がちに声をかけられて、私も少し戸惑いながら、けれど歩みはとめないままに振り向く。


「名前ってその…刀、使うんだったかな、って思って」


雷蔵の言葉に、心臓が重く跳ねる。
――雷蔵の言う刀というのは、私の背中にかけられた比較的短い刀のことで――忍者にはそれぞれ自分の得意とする道具があるけれど、私には特にこれといったものはない。

雷蔵は、そんな私が刀をかけているのが、不思議だったんだと思う。


「今日は少し必要なんだ」


私は目を伏せて、背にかけた刀に少し触れた。








「――じゃあ五人は、先に帰っていてよ」


――任務が終わって、今回、確実にしとめるべき対象だった人物を見下ろしながら、五人に向けてそう言う。
そして膝を折って、床に倒れている人物の胸から、深く突き刺さったクナイを抜いた。

少し血がとぶ。


「私はこれからここで、任務を下した城の人に報告があるから…さすがに五人はいられない」
「…ああ、分かった」


――そう言えば、今ばかりは五人は食い下がらないで、場所を去っていってくれた。

仰向けに息絶えた人物をうつ伏せにさせて、私は、背中の刀に手をかける。


城の人と会うのは確かに本当のことだけど…五人に先に帰ってもらった理由としては半分本当で半分間違っている。
半分の嘘ならば、私は、上手くつけるのかな。


震える呼吸は口布の中に。
右手だけで刀をつかむには、震えて無理で。
両手でつかんだ刀を人物の首に向けて、振り下ろした。





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