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「名前!」


走るようにして行ってしまう名前を見て、そうして自分が馬乗りになっている相手を見た勘右衛門は


「さっき、殴ったけど…」


クナイを取り出して振りかぶり――相手の顔のすぐ横に、突き刺した。


「クナイじゃなかっただけ、マシだから!」


と、そう言って、五人で名前を追いかけ走っていった。


「――もう、ホントに、ホントに、クナイじゃなかっただけ感謝してほしいよ」
「三郎、お前、クナイを使おうとしていただろう」
「気づいていたのか兵助…雷蔵にとめられた」
「僕も同じように怒った…なんて言葉じゃ表せられないくらいの気持ちだったよ、でも流石に名前が、」
「名前がそれを、望んでねえ…だろ?」


言葉を繋いだ八左ヱ門を見て雷蔵は頷く。


「確かにさっきハチが言った通り、名前は…傷ついていたけど、だからってきっと、三郎がクナイを使うことは望まなかったと…思うから」












――忍術学園に戻ってきた五人は名前を探して、そうして長屋の方へと向かう庭で、その姿を見つけた。


「な、頼むよ名前!」
「次のテスト…?」


けれど同じは組の生徒らと一緒に歩いていて、五人は思わず押し黙って足をとめる。


「そう、次のテストで、全員の合計点数が二百点以上だったら追試なし、って先生が言っててよ!」
「それで、お前に頼らせてくれよ、頼む!今度なんでも好きなもん奢るから!」
「一年のは組にも居るだろ?は組随一の頭脳の…ええと、なんだっけ?」



「ハチには三郎も雷蔵もついてたからなー。私はは組だからなあ、誰もつく奴が居ないよ。三郎の委員会の…なんだっけあの子」
「庄ちゃん」
「ああ、庄ちゃん?みたいなは組随一みたいなのも居ないしね」



名前は目を細めると、少し俯いて、笑った。


「庄ちゃん…だよ」
「そうそう、庄ちゃん?になってくれよ!」
「言っておくけど、私は別に頭がいいわけじゃ…」


――そうして、五年のは組が去っていって。
五人は歯を食いしばったり、握りこぶしを作っていた。


「もう、戻れないのか?」
「三郎…」
「前まで、あの場所は、私たちのものだったじゃないか。なのに、なのに……!もう…戻れない、のか…?」





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