(吁、今日は何もしたくなーい。)

ぼんやりそう思って欠伸を一つ。ごろりと直に床の上で寝転べば気持ちのいい太陽の日差しの暖かさと、木の優しい香りがした。此処最近は雨の日が続いていたので、こんなに気持ちのいい日は久しぶりだった。寝たままうーんと背伸びをして、また欠伸を一つ。ふわりと吹いてきた風はぺらりとキャミソールを捲り、お腹を露にさせた。周りには掃除中の男仲間たちがいたが別に気にしない。うん、気にしたら負けだもんね。これがあたしのアイデンティティーなのよ。これ見よがしに大の字で寝そべれば、ガンっという効果音と共に鈍器か何かに強打されたような強烈な痛みが顔面に走った。

「おめェ、何してやがる。」

上から声が聞こえてきたので視線を上げれば、私の頭上で眉間にくっきり縦皺を刻んで仁王立ちしている二番隊隊長が一人。先程の衝撃はどうやら彼の右足が顔面を強打したものと思われる。全くレディに何て仕打ちだ。きっと彼の靴底の跡が私の顔面に鮮明に残っているに違いない。

「寝てます。」
「んなこと見りゃあ分かる。俺が聞いてんのはだな、おめェは何で掃除をサボった上にそんな見ても面白くねェ身体さらけ出してんだってことだ。」
「まあいいじゃないですか。確かに私は掃除をサボりましたが、その代わりに皆にばでぃサービスしてたんですよ。出血大サービスです。」
「どうやらよっぽど燃やされてェみたいだな。」
「えー、やだあ。」
「だったら黙って普通に仕事しやがれっ!」
「全く、煩いなあもう。発情期ですか、私のサービスみて発情しましたか?」
「燃やす。」

じりっという音と共に、前髪が数本焼けた。冗談の通じない堅物な奴はこれだから困る。もはや怒る気も失せてしまい小さくため息を吐いた。

「分かりましたよ、ちゃんとお掃除しますから。」
「最初っから素直にそう言えばいいんだよ。面倒くせぇくだり作りやがって。」

隊長はそう言って早々とその場から立ち去ろうとした。私はすかさず隊長の背中に声を掛けた。

「あっ、隊長まっちょ。」
「あんだよ、」
「引っ張って。」
「…………マジかよ。」

ひょいっと両腕を隊長に向かって伸ばした。隊長は最初は不満そうな顔をしていたが、結局最終的には私の両手を掴むとゆっくり引っ張って、起き上がらせてくれた。

「……ちっちぇ手。」
「隊長の手は暖かくて大きいね。」

にぱりと笑ってそう言えば、隊長は何故かテンガロンハットを目深に被りなおして、私には顔を見せてはくれなかった。



やばい!ほれたかも!



(エース隊長、耳が真っ赤ですよ?)
(ほ、ほっとけ!)





ごめんなさい。様に提出しました。素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました(^ω^)!


20100829.