なんかわかったの。
双子パワー?
ああ、こいつが同じクラスでピッチャーで、鈴木涼とは違う鈴木葵だってこと。
なんとなく判別ついた。
そしたらあいつ、凄くびっくりした後、お前すげーなって目を輝かせていた。
ああ、この人は見分けて欲しかった人なんだなって。

そしたら鈴木葵もあたしと妹の区別が付いてた。
あの時嬉しかったと感じたところによれば、やっぱりあたしも見分けて欲しかったみたい。


多分、あたしはこの時から鈴木葵が好きで、なんかよくわかんないけど一々ツボで。

視線が絡む度嬉しかった。




「あのさ、日曜日ひま?」
「うーん、多分。」
「試合とか見に来ない?」
「…え?いいけど、」
「その、妹とかと一緒に来いよ。」


照れたようにはにかむ鈴木葵。
ああ、なるほど。
今までの経験上、妹を連れてきて欲しいのか。
鈴木葵は妹を好き、なのかなあ。
今までだって何度もあるけど、慣れない。

特にあたしと妹を見分けられた鈴木葵には、わたしを見て好きになって欲しかったなんて、なんか情けなくて涙が出そうだった。




日曜日、あたしは行かないで妹だけ行かせた。
結局、可愛くない意地っ張り。おまけなんて見られたくない。
でも鈴木葵は格好良かったんだろうな。
ちょっと後悔したり。



散歩しようと外へ出る。
何時の間にか夜で、星は光り、白く瞬いていた。
本当は様々な色で溢れているのだろうけど、私達は白くしか見えないなんて、なんか泣けた。
もっともっと色んな色を見たかった。


「おい、」

ぼけーっと歩いてると後ろから声が。
振り向けば鈴木葵。
は、鈴木葵?いやいや、なんでここにいんのさ。

「妹に聞いた。」
「人の心を読むなよ。」
「お前が考えてることなんかすぐわかる。…つかなんで来なかったんだよ。」
「あたしは要らないかなって。」
「はあ?お前を誘ったんだけど。」

怪訝そうに顔を歪める鈴木葵。

「だってあたし、おまけでしょ?妹の」
「どうゆう意味?」

意味がわからないと、まだ顔をしかめ続ける。
いやいや、あたしに言わせる気かよ。泣くぞ、おい

「だから鈴木葵は妹が好きなんでしょ?」
「…はああ?どうやったらそう思うんだよっ!」
「だって妹と一緒に来いって言ったし。」
「それはお前1人じゃ嫌だろうから…」
「顔だって赤かった。」
「だ、から…それは、」

またも顔を赤く染めた鈴木葵は盛大な溜め息をついて大きな目であたしを見る。

「本当は試合の後言おうとか思ったのに、お前こねーし。」
「う、ごめん…」
「まあいいよ、結局今日言うのには変わりない。…一度しか言わないから覚悟しろよ。」

そう言って無造作に次の言葉を待っていたあたしの目の前は覆われ、唇には仄かな熱。
それに気付いた時、何秒かは何も考えられなかった。

「好きだ。…鈍感でもこんくらいしたら気付くだろ。」
「や、な…は?」
「返事は?俺と付き合ってくれんの?」
「ちょ」

「さーん、にー」
「はい…!」

思わず叫んでしまった声に鈴木葵は笑って知ってると言った。

最初から好きだった、なんて恥ずかしがらずに言って、わたしもと答えたら鈴木葵は赤い頬に綺麗な弧を描いてた。



例えば極彩色に溢れた今が思い出になって、白く霞ゆこうとしても、新たな星を描けばいいと思った。鈴木葵と。

その時は窒息するくらいの愛で溢れていたなら嬉しい。



120920

素敵企画 しおりさんに提出

タイトルとか使いまくり。


 
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