真相編B | ナノ
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-回想-
十川01「へえ…岸くんも恋なんてするんだ…」
岸02「なんだお前バカにしてんのか?」
十川03「してないよ、いや意外だなーと思って。そういうの興味ないのかと思ってた」
岸04「うるせーなー、好きな奴くらいできるわ俺にだって」
十川M05「僕は、人と話すのが苦手だった。話題もなければ、趣味も特技もない。することもないのでいつも勉強ばかりしてた。勉強だけが、僕の味方だった」
十川06「で、相手は誰なの?」
岸07「え…!うん、まあ、えーっと…」
十川M08「そんな僕に初めてできた友達が岸くんだった。なんで仲良くなったのかは覚えてない。とにかく、岸くんといるとすごく楽しい。だから…」
十川09「言いたくないなら言わなくていいよ、それに誰だか分かってるし」
岸10「え!マジかよ!」
十川11「同じ部活の彼女でしょ?」
岸12「なんだよお前、エスパーか?」
十川13「岸くんが分かりやすすぎるんだよ、まいこがーまいこがーっていつも言ってるじゃん」
十川M14「だから、あの時僕は岸くんの話を聞いて、僕に打ち明けてくれたっていう嬉しさと、僕にだけ向いてたベクトルが大きくあの子に向いてしまうんじゃないかって不安が入り交じった不思議な気持ちになった」
岸15「あっそ!はあ…まあなんにしてもどうやって付き合うかだよなー」
十川M16「でも、岸くんに幸せになってもらいたいから、岸くんに笑っててもらいたいから、そのためなら僕はなんだってできる、そう思ったんだ」
十川17「もうすぐ大きな試合があるんでしょ?カッコいいプレイでも見せたら?岸くん将来すごい期待されてるし、プロも夢じゃないんでしょ?」
岸18「(照れながら)ちょ、それは言い過ぎだろ!まあでもずっと毎日のように部活で俺のプレイみてんだぜ?今さらだろ」
十川19「じゃあ素直にデートでも誘えば?」
岸20「それはもうやった!その日はちょっとー…ってなんとなくいなされてばっかだ」
十川21「意外に積極的だね」
岸22「悪いか」
十川23「んー…じゃあさ!」
岸24「なんだよ」
十川25「テニス以外でカッコいいとこ見せようよ!」
岸26「はあ?」
十川27「僕がナンパ男になるよ!髪の毛くしゃくしゃさせて、眼鏡はずして、格好も変えて、夜道だったらバレないと思う!彼女にしつこく絡む僕、そこにタイミングよく岸くんが現れてマイコさんを助ける!」
岸28「ベタだな!」
十川29「ベタだよ!でも案外うまくいくかも!ねーねーねーそこのカーノジョお茶しようよーチョリーッス!みたいな!」
岸30「…俺、もしヒデヤがそんなんなったら親友やめるわ…」
十川31「ヒドッ!ガビチョン…」
岸32「つーかチョリースもう流行ってねえし、ガビチョンて意味わかんねえし」
十川33「あはは…」
十川M34「本当はこんなことしなくても、僕はうまくいくと思ってた。なぜなら僕は2人が両思いだって気づいていたから。当の本人達は気付いてなかったみたいだけど。ただ、こうでもして僕が関わらないと、岸くんの中の僕の存在が小さくなってしまう。それだけが、この計画の『理由』だった」

岸35「あいつの帰り道的にここを通るから…」
十川36「じゃあ岸くんはここで待機!僕が合図したら出てきてね!」
岸37「よっしゃ、お!あれじゃねー?」
十川38「OK!」
走りよる音
十川M39「計画は、うまくいくはずだった」
まいこ40「ちょっ、あなたたちなんなんですか!キャア!やめて!!」
十川M41「『彼ら』が出てくるまでは」
まいこ42「キャアアア!!やめてええ!!」
岸43「おい!いまの声なんだよ…」
十川M44「その時、僕は直感した。岸くんをここに出しちゃダメだって。彼には『未来』がある」
十川45「岸くんこっちに来ちゃダメだ!!」
岸46「ちょっと待て、あいつら誰だよ」
十川47「分からない!男5、6人に囲まれてて、襲われてて」
岸48「ふざけんな…、麻衣子になにしてんだよ!!」
十川49「だめだよ岸くん!行っちゃダメだ!!」
岸50「止めんなよ!どけヒデヤ!!」
十川51「絶対にダメだ!!君には!君には…!!」
49〜51は真相編Aの89〜91をリピート
十川52「未来があるんだ!!プロテニスプレイヤーになるっていう大きな未来が!!こんなところで喧嘩なんかしたなんてバレたら今度の試合に出してもらえないかもしれない!!」
岸53「そんなのかまうかよ!!」
十川54「君だけじゃない!!他の部員もだよ!!連帯責任とかとられたらどうすんの!!」
岸55「じゃあ指くわえて見てろってのかよ!!」
十川56「なんだっていい!!僕は!!岸くんの未来を守るんだ!!だから!!絶対に行かせない!!」
岸57「だからって…だからって…うあああああああああ!!!!!」
-回想おわり-

岸58「そうだ…俺も同じだったんだ…コイツらと…」
十川59「ちがう、僕のせいだ、僕がいけなかったんだ、岸くんは悪くない」
岸60「俺もあの時何もできなかった…しなかったんだ…!!」
十川61「岸くん…ごめん…僕が…ぼくが…(泣き)」
岸62「あああ!!!うあああああああああ!!!!!」
相原63「岸くん…!!岸くんんん……!!!(泣き)」
宝生64「……っ」
齋藤65「…ねえ宝生センパイ。まい、聞きたいことがあるの…」
宝生66「どうしたの、急に」
齋藤67「まいが手紙をあげて、関センパイがその差出人をまいこさんだって勘違いしたのを、宝生センパイは気付いてたのに、どうしてそのままにしたの?」
宝生68「!」
齋藤69「ねえ、関センパイ。フツーに考えたら、まいこさんをおそった男の集団て関センパイがお願いした人たちだと思うんだけど…やっぱりそうなの?」
関70「し、知らないわよ!そんなの…!」
宝生71「俺だよ」
齋藤72「…」
宝生73「俺が頼んだんだ…知り合いに、あの子を襲ってくれって」
白井74「なんで…そんなこと…」
齋藤75「関センパイを…守るため…」
宝生76「俺が『本当は齋藤さんにラブレターをもらった』って栞に言ったら栞は人違いで人を傷つけたって知ってショックを受けるだろ?そもそも『人を傷つけた』という事実を俺が知ってるってことに栞が傷ついてしまう。だから麻衣子さんには黙っててもらうために、彼女を遠ざける、ひとまず『学校からは消えてもらう』必要があったんだ」
一ノ瀬77「さいってーだね、舞がこんな奴にラブレターをあげたのかと思うと虫酸が走るよ」
宝生78「君にだけは言われたくないよ」
齋藤79「ぜんぶ関センパイのため」
宝生80「そう、ぜーーんぶ栞のため」
関81「………(息を飲む感じで)」
宝生82「栞のためなら俺の手くらいいくらでも汚すよ」
岸83「ふざけやがって…!」
殴る!!!
宝生84「…ぐっ!」
岸85「お前さえ!!お前さえいなければ!!!」
関86「やめてよ!!!」
高橋87「はあ…結局犯人なんて分からないじゃない、それともこうして彼女に関わった人間すべてが犯人だと言いたいのかしら?」
浅森88「ううん、違うよ、犯人はいる。彼女に『手を下した』犯人が」
高橋89「…?」
浅森90「ねえ、十川くん。察しのいいあなたなら、もう気づいてるでしょ?」
十川91「………」
浅森92「あなたは実際誰かを呼ぶとき、名字に『さん』をつけて呼んでる。ねえ、あなたは『麻衣子』さんをなんて呼んでたの?」
十川93「…………『戸田』さん」
一ノ瀬94「ん?なに?ハッキリ言ってよ」
十川95「彼女は『戸田 麻衣子』っていうんだ…」
浅森96「………だそうよ、『戸田』くん」
戸田97「……くっくっくっ……」
浅森98「……!」
戸田99「くっくっくっ!…ふはははははは!!!そうだったんだ!!!そうやってみんなアイツを追い詰めたんだね?俺の大事な妹…麻衣子を!!!!」




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