手がかり編A | ナノ
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関01「で?」
戸田02「でって…?」
関03「自己紹介して何が変わったの?」
戸田04「ほら、少し関係とかが分かったっていうか…」
関05「関係が分かってどうなったの?進展は?何もないじゃない。はい時間のムダー」
宝生06「お前はどうしてそういう言い方しかできないかな、もう…」
一ノ瀬07「いやいや、大きな進展はあったよ」
関08「なによ」
一ノ瀬09「十川くんは、十川くんじゃないかもってこと」
十川10「はい、僕は僕じゃない疑惑浮上しましたーってなんで!!」
一ノ瀬11「君だけ皆に知られてないんだよ?他のクラスメイトはわかるのに。さあ、何でだと思う?」
十川12「知りませんよ!!」
一ノ瀬13「多分、君は本当の君じゃないんだよ」
十川14「ガチで意味プーさん…じゃあなに?本当の僕はこんな感じーみたいなー」
関15「どっから出してきたのよそんなギャグみたいな分厚いメガネ」
十川16「なんかカバンの中に入ってたんだよねー、変な参考書と一緒に」
一ノ瀬17「…ふーん(意味ありげに笑って)」
戸田18「カバン…そうか、持ち物で思い出す記憶もあるかもな!」
岸19「持ち物…っつったって、俺はこれしか持ってないぞ…」
戸田20「ラケット?」
岸21「ラケットバッグとラケット。テニスのだ。やってた記憶はないけどな」
戸田22「へー、テニスかー、俺もテニスやりたかったけど、家計が苦しくてやれなかったんだよなー。妹はやりたいって言うから何とかやらせてたんだけど、…ん?」
浅森23「妹…いるんだ…」
戸田24「そう…みたいだ…確かに…いた気がする…」
白井25「話しているうちに思い出す記憶があるってことかしら」
相原26「さっすが委員長ー!あったまいー!」
高橋27「…というより」
相原28「おっ!めずらしくしゃべるの?!しゃべるの高橋さんっ!!」
高橋29「元々私たちには『断片的な記憶』というものがあるのでしょう?それが分かっているのだから、自分の持っている記憶を提示することの方が生産性があるのでは?…ちなみに私の記憶は『トモダチがいなかった』ってことかしら。隣の席の人とも話した覚えがないもの」
相原30「…なーるっ。てかその記憶寂しすぎー!」
関31「なにそれ、アバウトすぎない?私は歩以外の人間とは関わりがないし、それ以外の記憶もないわ。『断片的な記憶』ってこれだけ?」
宝生32「…そうだな…俺も、栞が幼なじみってこと以外はなにも…」
関33「強いて言うなら、歩が成績はいつもトップ・スポーツ万能のムカつく奴ってことくらいよ、分かるキオクって言うのは」
宝生34「酷い言いようだな、相変わらず」
戸田35「成績優秀・スポーツ万能、おまけにルックスも良いと来たもんだ、さぞかしモテたんだろうな」
十川36「でもでも戸田っち!自分だと思って想像してみて!!ほら!女の子をー?」
戸田37「選びたい放題ー」
十川38「ヤリたいー?」
戸田39「放題ー!…はっ!俺はいま何を!」
浅森40「…さいってー」
戸田41「ち、ちがうんだ!何かのっちゃって…!」
宝生42「ははは、君たち面白いね、でも成績に関してひとつ訂正するよ。俺はいつも学年で2番だったんだ」
戸田43「いやいや、それでもすごいから。訂正じゃないから」
岸44「………お前は?」
齋藤45「え?」
岸46「さっきからずっとだんまりじゃねえか」
齋藤47「ま、まいは…何も…」
岸48「お前はないのかよ、記憶」
齋藤49「…い、言いたくないの…」
岸50「はあ?!」
齋藤51「うぅ!(泣きながら)」
一ノ瀬52「ちょっと、舞にそういう言い方するの、やめてもらえないかな?」
岸53「はっ!兄貴かどうかもわかんねえくせに偉そうだな!見てみろよ、コイツも怯えてんじゃねえか!」
齋藤54「……」
一ノ瀬55「ごめんね、舞。びっくりしたね」
齋藤56「…ストーカー」
一ノ瀬57「ん?」
齋藤58「まい、ストーカーに遭ってたの。それが記憶…」
関59「あはは!なにそれ!被害妄想じゃないの?!あんたみたいなお子ちゃまに誰がストーカーなんかすんのよ!」
浅森60「身近な人」
関61「は?」
浅森62「ストーカーって…結構…身近な人、多いみたいだよ」

沈黙

一ノ瀬63「なんで皆僕の方見るかな?」
岸64「いや、どう見てもお前が怪しいだろ」
一ノ瀬65「僕は本当に舞の兄だよ、それにそれが僕の記憶だ。悲しいことに、その記憶を舞は持っていないみたいだけど」
齋藤66「…知らないもん…」
白井67「舞ちゃん…だっけ?怖いんでしょ?こっちおいで」
齋藤68「…!」(走りよる)
一ノ瀬69「ひどいなあ」
戸田70「…で、他にはあるのか?手がかり」
白井71「私は…学級委員だったってことくらいしか…」
関72「分かりやすすぎ、そのまんま」
宝生73「栞!」
白井74「ごめんなさい…相原さんはどう?」
相原75「あ、あたしは…言えなーい!」
白井76「え!なんで!」
相原77「だ、だめだよー!言えない言えない!ココじゃぜーったい言えないのー!…ちらっ」
岸78「なんでこっち見んだよ!」
相原79「キャー!言えない言えなーい!!」
戸田80「なんて分かりやすいんだ…」
十川81「そういうアンタも両手に包帯巻いてるけどなんなのー?なんかのプレイで使うわけー?」
戸田82「そうそうコレで縛って拘束プレイー…なんつって!」
浅森83「……はあ(一際大きい溜め息)」
戸田84「あ!ちがう!ついノリで…!」
浅森85「2回目」
戸田86「ゴメンって…実際コレよくわかんないんだよな、包帯とっても傷なんてないし、痛くもないし」
浅森87「ふうん…まあいいや戸田くんはほっとこう」
戸田88「えーー!!」
浅森89「ねえ」
宝生90「…ん?」
浅森91「隠しごと…良くない」
宝生92「…どうしたの?」
浅森93「カバンの中に隠してる手紙…誰からの?」
関94「手紙?」
宝生95「ふふ、そんなもの持ってないけど?」
浅森96「…あとから分かる方が傷つくことって…たくさんあるよ」
宝生97「何のことだか…(含み笑い)。そう言えば浅森さんは?記憶、ないの?」
浅森98「ない」
戸田99「うそー!皆あるんだろ?『断片的な記憶』」
浅森100「皆にはあるのかもしれないけど、私には本当にないの。『断片的な記憶』が」
戸田101「なんで浅森さんだけ…」
浅森102「『断片的な記憶』はないの…理由は…分からないけど…」
戸田103「……」
十川104「…あと皆忘れたように話してますけどー…あの女の子は結局…誰なんすか…?」
高橋105「さあ、誰なんだか」
十川106「そんなんで済まされちゃう感じィ?」
一ノ瀬107「まあ、何も関係ないことはないと思うよ。この子が僕らの『共通点』なんだろうね…」
戸田108「『共通点』…か…」

戸田M109「ピースを集めて少しずつ浮き上がってきたパズル。完成したパズルに映し出されるのは、天国か、地獄か…」
まいこ110「さあ、ショータイムの始まりだ」



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