今日は私が産まれてから、十五回目の親族会議の日。 戦人は来ないけれど、譲治お兄ちゃんや真里亞、そして縁寿というなかなか逢うことのできないいとこたちと逢えることに、心を踊らせていた…のだけれど。
「うー、●●は真里亞と縁寿と遊ぶのー!」
「いいえ、●●様は僕と姉さんとお茶をするんです」
バチバチと火花を散らし睨み合う真里亞と嘉音を前に、ついつい溜め息が出てしまった。
「ねぇ二人とも…」
「大体嘉音は使用人なんだから、真里亞に●●を譲るべきなの!」
「今は休憩時間中なので、僕にも●●様といる権利はあります」
いやいや、どうしたの嘉音、あなた普段はあんまりムキにならないし、そんなこと言わないじゃない。 というか、私のこと無視しないで。
「二人とも!」
声を張り上げると、驚いたのか二人は目を丸くさせてこちらを向いた。
「みんなで、遊ぼうよ」
にっこり笑顔で、そう訴えかけてみる。
「嘉音はマリアージュ・ソルシエールの同盟に入ってないからダメ!」
「僕は、●●様と姉さんとお茶をしたいんです」
即答で断られてしまった。 ここまで完璧に拒否されると、傷つくというよりむしろ清々しい気分になってくる。 もう口はさまないから、二人で納得できるくらい話し合ってと思っていると、嘉音が「あっ」と言いこちらへ視線を向けた。
「●●様は、僕と真里亞様どちらを選びますか?」
「うー!●●選んで選んでっ」
さっき出した意見はバッサリ拒否したにも関わらず選んでという二人に、自分の口元が微かにひきつるのを感じた。 どう答えようか…と思考を巡らせていると、「あっ●●お姉ちゃん見つけた!」という可愛らしい声が聞こえてきた。 声のした方を向くと、嬉しそうな表情をした縁寿と、申し訳なさげに眉を下げている紗音の姿が視界に入った。
「んもう、ずっと待ってるのに●●お姉ちゃん来てくれないから、迎えにきちゃった!」
そう言ってギュッと抱きついてくる縁寿が、私には天使に見えた。
「●●様、申し訳ありません。その…嘉音くんが…ご迷惑をお掛けしてしまったようで」
現在進行形で、掛けられてますよ紗音さん、と心の中でふざけてみる。 紗音は嘉音の前へと歩み寄ると、眉を寄せつつ口を開いた。
「ダメじゃない、嘉音くん。●●様に迷惑を掛けちゃ」
「…うん」
紗音の言葉にしょぼんと、肩を落とす。 真里亞は勝ったと言わんばかりに、笑みを満開にさせた。
「真里亞お姉ちゃんも、●●お姉ちゃんを困らせちゃダメ!」
「縁寿…でも……」
「でも、じゃない。縁寿、みんなで仲良く遊びたい」
「うー…分かった。●●、ごめんね?」
「気にしてないよ。縁寿のいうように、みんなで仲良く遊ぼう」
嘉音同様落ち込む真里亞にそう言葉を掛けると、嬉しそうに頷いた。
「嘉音も落ち込まないで。譲治お兄ちゃんと朱志香お姉ちゃんも呼んで、みんなで遊ぼう!」
「…はい!」
顔を上げ、力強く頷く。 そんな嘉音から今度は視線を紗音に移すと、
「じゃあ紗音は譲治お兄ちゃん呼んできて。私は嘉音と朱志香お姉ちゃん呼んでくるから」
「わかりましたっ」
嬉しそうにはにかみ、急ぎ足で出て行く紗音を見送ると、私は嘉音の腕を掴んで引っ張った。
みんなで楽しく、それが一番! (ほら、嘉音行くよ)(わっ)(真里亞と縁寿はそこで待っててね)(はーい!)(●●様、は、速い、です!)
紫苑さま、お待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした(土下座) 落ちまでは書いてなかったため、こういう感じで終わらさせて頂きました^^* こういうほのぼの系大好きなもので⌒♪ リクエストしてくださり、本当にありがとうございました!
20101120
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