千秋×結汰


提供:カタリグサ様

01≫早くなる鼓動
02≫素直になれなくて
03≫ひとりじめしたい
04≫もどかしさを感じて
05≫自分らしく



昼休み。

4時間目の体育でやったサッカーの熱が覚めないらしく、お弁当を食べた男子は校庭にいち早く飛び出しサッカーの試合を始めてる。
その中にはもちろんちーも入ってる訳で。
外に行くのがめんどくさい僕は悟とベランダからサッカー観戦。

ボールを追うちーはいつもにも増して楽しそうで色素の薄い髪がキラキラ光ってる。ただそれだけで、
早くなる鼓動

ちーは敵チームを色んな技でどんどん抜かし、綺麗なシュートでゴールを決めた

「すごいねー今のシュート」
「僕、サッカーはよくわかんないから、すごいの?」
「かなりね」

悟からそんな事を聞いてしまえば、余計にちーを目で追ってしまう。

「あ!ゆーたー!!!」

ふとちーがベランダの方を見て、僕を見つけたらしい。
大声で僕の名前を呼んだから、他に見てた子たちの視線が僕に集まり、一気に恥ずかしくなる。

ほんとは手を降り返したかったのに
素直になれなくて
とっさに僕は下を向いてしまったちーは僕に声が届かなかったと思ったらしく、また試合に混ざっていった。
それと同時に少しずつ減る視線に、ようやく顔をあげたら、やたらクラスの女子が騒いでる事に気づいた。
聞きたくないのに会話の所々にちーの名前が出てきて、無意識に耳に入ってきてしまう。

その会話の一部でわかる。
「(やっぱり、ちーってモテるんだ…)」

女子達の目線の先には必ずちーがいて、なんとなく焦燥。
「(あの子たちの方が可愛くて、ちーと並んでも不思議じゃ、ない)」
「(いつも素直じゃない僕は、ちーと別れる事になっても何も言えないんだ)」

ひとりじめしたい
なんて言えないけど、ちょっと不愉快。

昼休みも終わりに近づいて、ちー達が教室に帰ってきた。
ちーの席は僕の隣。
今、ちーにどんな顔して会ったらいいかわかんなくって、机に突っ伏せて寝たフリをする。

「あれ?結汰寝てるの?おーい、ゆたー?」

ちーに抱きしめて欲しい。でも人前じゃ恥ずかしい。
自分の中の矛盾に
もどかしさを感じて
こっそりため息を吐いた。

寝たフリを続けてたらいつの間にかほんとに寝てしまって、起きた時には5限の数学は終わっていた。

ぼんやりした頭で6限の授業を聞きながら、世間一般ではこんな時どうするんだろ。大体相場は決まってて、
「自分らしくしてたらいいんだよ」とか思ってもない事言うんだよね。
自分らしく

「(でも、僕らしくってなんだろう…)」

考えてもわかんなかったから、今はまだわかんないもんなのだろうと、勝手に決めつける。
そしてとりあえず、

「ゆ―うた!」

目の前でヘラヘラ笑う、ちーにデコピンをお見舞いしてみた。









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