伊織×柑流
「柑流、大好きよ」
そう言った電話越しの伊織の声が、泣いているように聞こえた
「ん…私も、好き」
私の「好き」が普通の人の愛しているを軽く上回ることなのは、伊織が一番知ってるはずだから、愛してるなんて言葉は使わない
それに、何故か私が言うと「愛してる」って言葉自体が陳腐に聞こえる気がするから好きじゃないの
「伊織、なんかあったの?」
そう聞くと、伊織はなんでもないって言うけど、なんでもないなら夜の1時に電話掛けてくるはずがないもの
「伊織の嘘つき。何があったか教えてよ」
知りたいわ、そう言うと伊織は小さい声で呟いた
怖い夢を見たの、と
どうやら私が急にいなくなる夢をみたいで、それで目が覚めた時に不安で掛けてきたみたい
普段の勉強も運動も出来て、周りの子にはクールな伊織からは想像も出来ない可愛い理由
どんなに他の子が伊織を好きでも、こんな伊織は想像できないと思うわ
「伊織、好きよ」
もう一度そう言うと伊織が電話の向こうで笑うのが見えた気がした。
(いお、じゃあ明日はいおの家に行ってもいい?)
(いいけど、何かするの?)
(いおがまた怖い夢見ないように一緒にお昼寝したげる)
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