一番はじめは、幼稚園の時。
同じ組の男の子。
元気いっぱいで、いつも笑ってた。
その次は、小学2年生。
担任の先生で、
面白くて、優しくて、いつも生徒に囲まれてた人気者の先生だった。
その次は、小学6年生。
隣のクラスの男の子。
サッカーが上手で、同じ学年の女子のいつも話題の中心にいた。
そして、今。
一つ年上の先輩。
テニス部部長で、生徒会長。
何でも完璧にこなす、すごい人。
自分にも他人にも厳しいけど、面倒見がよくて優しい人。
跡部景吾先輩―――
私の生まれてはじめての『彼氏』で、
私が生まれて・・・もちろん家族とか友達とかと違った意味で、4人目に好きになった人、だと思ってた。
「へぇ?4人目・・・とはな。」
「な、何か怒ってますか?」
「別に。」
「・・・先輩が聞いてきたのに。」
「アーン?何か言ったか?」
「・・・何でもないです。」
でも―――
考えてみれば、今までは見ているだけで十分だった。
それ以上を望んだことなんてなかった。
なのに、今は全然違う。
「でも、私・・・」
一緒にいる時も、離れている時も、
見つめられた時、触れられた時、
こんなに心動かされるのは、先輩だけ・・・。
「一方的に想ってるだけじゃ、嫌なんです。」
景吾先輩が、じっと見つめながら私の言葉を待ってくれる。
他の女の子と話さないで欲しい。
そうやって、私だけを見ていて欲しい。
私だけを想っていて欲しい。
嫉妬や独占欲なんて、景吾先輩に出会うまで感じたことなかったのに・・・
「今までみたいに見てるだけでいいとか、話せただけで嬉しいとか、そんなんじゃ嫌なんです。」
なんで?とか、明確な理由なんてわからない。
でも、嫌なの。
先輩が私以外の女の子に優しくしたり、笑いかけたりしている姿を想像すると、胸が苦しくて・・・
「私だけの景吾先輩じゃないと、嫌・・・なんです。」
ソファーに座る景吾先輩に手を伸ばと、その手を取られ、先輩の上に倒れこむように引き寄せられる。
顎に触れた指先が、私の顔を上向かせる。
ほんの一瞬、絡む視線。
先輩の唇が私の頬に触れる。
先輩の手が私の前髪を後ろに流して、今度は額に唇が触れる。
瞼にも鼻先にも優しく触れて、
最後には、唇にキスが落ちてきた。
幸せで、胸がいっぱいになる。
好きだという気持ちで、胸がしめつけられる。
「静・・・」
名前を呼ばれるだけで、泣きそうになる。
こんな風に誰かを想ったのは、はじめてだから―――
これが人を好きになることだと言うのなら・・・
今の、景吾先輩への気持ちを恋だと言うのなら・・・
多分、これが・・・
私の―――
≪ はつこい。 ≫
またまた参加させていただきました!
可愛いこと言う静ちゃんに跡部さんはクラクラきてるといいなぁ、と。笑
ありがとうございました!!
2009/11/08
キミノトナリ
(もっと)学園祭の王子様企画