Don't tease me.
冬休みを利用して、大阪の謙也の家に泊まりに来て2日目。
「悪い、今日は用事あるから、明日付き合うわ。」
買いもんでも行こかて誘たら、謙也からの返事はノー。
あえてつっこみ入れんかったら、わざとらしゅう目線を逸らす様子に、
「彼女でもできたんか?」
冗談混じりに聞いたら、返事のかわりに謙也は顔をまっ赤にしよった。
キモイことこの上ない謙也のスネを蹴飛ばして、家出る謙也の後をついて行く。
「なんでついて来んねん!」
口に出さんでも睨む目で訴えてくる謙也に、
「俺もこっちに用があんねん。」
しらっとゆうたら、
「嘘つくなや!」
ゆうて、回し蹴りが飛んできた。
「時間、ええんか?」
さっき腕時計見たら、10時半回とったはず。
時間的に待ち合わせは11時くらいか?
携帯の画面を光らせて時間を確認して、「げっ!」ゆうて謙也が声を詰まらせる。
「ついて来んなや!」
そないゆうて走り出した謙也を、俺も走って追いかける。
『浪速のスピードスター』とかゆうだっさい呼び名がついとるだけあって、足だけは早いな。
見失わんように追いかけて、着いたんは何度か前通ったことある謙也の家の近所の公園。
(あいつ、どこ行ったんや?)
きょろきょろ周りを見渡したら、あのアホみたいな髪の色はすぐに見つかった。
ベンチで座っとるやつに話しかけとるみたいやな。
あいつのでかい図体が邪魔して顔はよう見えんけど、やっぱり相手は女の子みたいや。
隣に座れゆわれたんか、謙也がベンチに腰をおろしたとこでばっちり目が合(お)うて、嫌そうに顔をひきつらせるのが見える。
(失礼なやっちゃな。)
そない思いながらも、目線は謙也の隣に自然と向く。
髪はサラサラで長め。
色白で大きい目が人形さんみたいやな。
んで、あの足。
短めのスカートから見える足は、行儀ようそろえられとって、なんやえぇ感じに俺好みや。
「お嬢さん、謙也の彼女か?」
話しかけながら近寄れば、俺と謙也を顔を何度も見比べながら、不思議そうに首を傾げる。
相手にせんでえぇ、とかまた失礼なこと言いよる謙也を無視して、
「謙也のイトコの忍足侑士ゆうねん。」
挨拶したら、
「イトコ?」
また人形さんが可愛らしゅう首を傾げた。
「東京に住んどるけど、あっちに友達おらんから遊びに来とんねん。」
「失礼なこと言いなや。」
「しかも、何でついて来とんねん!」
「お前のこと好きやゆう物好きな彼女見に来たんや。」
「物好き言うなや!」
「けど、こんな可愛らしいお嬢さんやと思わんかったわ。」
俺らのやり取りを横で見ながらおたおたしとった彼女が、驚いたみたいに俺を見よる。
なんや?
『可愛らしい』に反応したんか?
ほんまに可愛いらしいな。
なんや頭撫でたなって手ぇ伸ばしたら、「勝手に触んな!」ゆうて謙也に止められる。
「なんでお前と手ぇつながなあかんねん。」
ぎゅ〜っとアホみたいに力入れて握ってこられて、ちょい手が痛いわ。
もうちょっとからかったろ思とったのに、これ以上したら本気でキレそうやからやめとこか。
「心配せんでも、邪魔者は帰るて。その前に、お嬢さん。名前だけ聞いとってもえぇか?」
納得できんような顔しとる謙也を無視して彼女に聞いたら、
「広瀬静です。」
答えながら、人形さんがまたわろた。
******
謙也に引っ張られるように公園を出て行く彼女が、最後にこっち見て頭下げるのが見える。
広瀬、静・・・か。
静、ちゃん・・・やな。
あんな可愛ぇ子、謙也に勿体ないで。
よりによって、なんであんなヘタレ選んだんやろな。
さっきの謙也の様子を思い出して、緩む口元を誤魔化すみたいにマフラーで隠す。
「まぁ、しばらくからかうネタには尽きひんな。」
家帰って来たら開口一番文句ゆうアイツに、何ゆうたろ?
そんなこと考えとったら、なんや無性に楽しなってきたわ。
8888hit キリリクでW忍足&静ちゃんでした。
どちらかと付き合ってる設定で、横やり入れるお話・・・
ということでしたが、こ、こんな感じでよろしいでしょうかっ!?汗
二人の会話書くのがすごく楽しかったです。笑
こちらは、リクエストくださった方のみ
お持ち帰り可能となっております。
原っちさま、リクエストありがとうございました!!
2010/01/06