We got taken in.
3限目と4限目の間の10分っていう短い休み時間。
俺と会えるかな〜って考えながら、辞書を借りるって言う友達についてここまで来たって言う広瀬さん。
「次のお昼休みで会えるんだけどね。」
そう言いながら笑う広瀬さんが可愛くて、抱きしめたくなって伸ばした手を、ここが学校だって思いだして慌ててぎゅっと握りこんだ。
俺だけを見ていて欲しい。
俺だけをその瞳に映して欲しい。
そう思ってしまうのは、俺だけなのかな。
「広瀬!ちょっといいか?」
俺と二人で話してたところに、見たことのある男子生徒が広瀬さんに声をかけてきた。
多分・・・広瀬さんと同じクラスのヤツだと思う。
慌てたような剣幕に首を傾げながら、どうかした?って広瀬さんが答える。
「5限の数学の宿題、お前やってきた?」
「うん。」
「頼む!見せて!!」
「ダメだよ。自分でちゃんとしないと。」
「違うって!次当たるから、答え合わせしたいだけだっつーの!」
「ほんとに?」
「マジだって!」
「ならいいよ?」
俺以外の男子と、広瀬さんはこんな風に話してるんだ・・・
そう思うと、なんだか不安になる。
俺のいない時のもこういう風に話をしてるのかな、とか。
俺もまだ呼べない下の名前を、他の男子が先に呼んでたらイヤだな、とか。
広瀬さんを信じてないわけじゃないけど、自分に自信がなくて不安になる。
「机の中に入ってるから、勝手に持って行っていいよ。」
「勝手に机荒らせないだろ!」
「え〜、いいのに・・・」
「頼む、出して!!」
「ふふっ、わかった。」
俺が横にいるのに、俺以外の男子と会話する広瀬さん。
俺以外のヤツに笑いかけて、
「ごめんね、長太郎くん。またお昼休みに来るね?」
俺を置いて、俺以外のヤツと一緒に教室に戻ろうとする広瀬さん・・・
その後ろ姿をそのまま見送りたくなくて、
「待って!」
思わず、その手を掴んで呼びとめた。
「きゃっ!?長太郎くん?」
「あっ・・・ごめん・・・」
「どうか・・・した?」
「いや、何でもないよ!ごめん!!」
不思議そうに俺の顔を覗きこむ広瀬さんに、掴んだ手を慌てて離す。
何・・・してるんだろ、俺。
ただ、教室に戻ろうそする広瀬さんを、このまま行かせたくなかった。
俺に背中を向けて、他のヤツのところへ行こうとする広瀬さんを見たくなかった。
本当、何してるんだろ。
広瀬さんにこんな顔させちゃってるし。
行かせたくない、見たくない、って完全に俺の我儘なのに。
「ごめん!ノートは、昼休みでもいいかな?」
その声に、思わず顔を上げる。
広瀬さんの言葉は、さっきの男子に向けて。
一瞬だけ俺を見たその男子は、
「あぁ、悪い!けど、昼休みに絶対頼むな!!」
そう言って、そのまま教室へと戻って行った。
「広瀬・・・さん?」
クラスメイトを見送ったまま背中を向ける広瀬さんに声をかける。
もう一度声をかけても反応がなかったから、そっと回り込んで顔を覗く。
(赤い・・・?)
「あの・・・」
どうかしたのか?そう聞こうとしたら、広瀬さんが俯いたまま小さく声を漏らす。
「勘違いかもしれないけど・・・」
広瀬さんの華奢な手が伸びてきて、俺の制服の裾を掴む。
きゅっと握る動作が可愛くて、心臓が大きく跳ねる。
顔を上げてくれないから分からないけど・・・
少しだけ見えてる耳はやっぱり赤いみたいだ。
「ここにいた方がいい、のかな・・・って」
そう言って、勘違いかもしれないけど・・・て、もう一度言葉を濁す広瀬さん。
休み時間は、多分・・・後1・2分。
一緒にいられる時間なんてほとんどない。
さっきのクラスメイトと一緒に教室に戻ったって、全然おかしくなかったのに・・・
きっと、俺の醜い嫉妬心も見抜かれたんだろうな、って思うと恥ずかしくなる。
けど、それでもここに残ってくれたことが、嬉しくて。
手を伸ばして、その身体を抱きしめる。
「長太郎くん!?」
廊下だから!って広瀬さんが叫ぶ。
でも・・・ごめん。
今はどうしようもないくらいに嬉しくて仕方ないから・・・
チャイムが鳴ったら離すから・・・
「もう少しだけ・・・」
ぎゅっと、抱きしめる腕に力を込めた。
4500hit キリリクで長太郎×静でした。
チョタの小さな嫉妬話、ってシチュのご希望をいただいてたのですが
どうでしょうか??汗
嫉妬になってますかね??あわわっ・・・
タイトルの意味は、『弱ったな』とか『弱ったね』みたいな意味でとってください。。
こちらは、リクエストくださった方のみ
お持ち帰り可能となっております。
桜桃さま、リクエストありがとうございました!!
2009/11/23