日常
アラロスのキャラたちで学パロのお話です。
苦手な方は、そのままお戻りくださいませ。
校門の前で手を広げ、大きく深呼吸。
周りの目なんて気にしてられない。
今日こそは平穏な一日を―――
願い、そして足を進めた。
「おはようございます。」
校門に入ってすぐのこと。
毎日毎日飽きるくらいに聞き慣れた声。
このまま気づかないふりをして、素通りしたい。
そういう思いを抑えて振り返る。
無視すると後が面倒なのは分かり切ったことなんだから。
「おはようございます、カーティス『先輩』。」
深々と頭を下げる。
もちろん、この男・・・カーティス=ナイルに敬意なんて一欠けらも持ち合わせちゃいないけど。
目を合わせたくなくて、わざとらしいくらいに頭を下げる。
「失礼します!」
そして、そのまま背を向けて、急ぎ校舎へと向かう。
歩くと言うよりは、小走り・・・いや、全力疾走に近い。
例え全力で走っても、あの男に敵わないことなんて、よくわかってる。
けれど、走らずにはいられない。
捕まれば、人目なんて一切気にしないあの男のこと。
何を言い出すか、何をしだすか、わかったもんじゃない!
全力疾走、数秒後。
校舎手前で、真っ白な制服に身を包んだ男がこちらを振り返り、目が合った。
「げっ!」
「ちょっと! げっ、ってなんスか!? げっ、って!!」
朝から目に痛い真っ白な制服を着た男は、一瞬の笑顔の後、不服そうに唇を尖らせる。
「挨拶だけで僕を置いて行くなんて、ひどいですね? アイリーン=オラサバル。」
背後からの声に、大きく身体が震える。
次から次へと・・・
こういう状況を何て言うんだったか。
確か・・・
前門の虎、後門の狼・・・だったかしら?
ここは、触らぬ神に祟りなし、よね?
そうして―――
二人の男を無視して校舎に入ろうとして、
今日の平穏は、腰に回された腕によって阻まれた。
「離してよ!」
がっちりと腰を捕える腕の中で、じたばたと暴れる。
この腕が私を離してくれるなんて、思ってもいないけれど。
それでも、抵抗を見せずにはいられなかった。
「離しませんよ。」
離したら逃げるじゃないですか、とカーティスは軽く私の身体を担ぐ。
一体どこにそんな力があるのか。
そのまま、校舎とは反対方向へ向かおうとするカーティス。
「おい、アイリーンをどこに連れて行く気だ、カーティス=ナイル?」
さらに暴れて文句を言おうとしたところで、ロベルトがカーティスの進路を遮る。
「貴方に呼び捨てにされる言われはありませんよ、ロベルト=クロムウェル?」
「俺も、な。」
カーティスとロベルト、二人が周りに殺気をまき散らす。
通学時間だと言うのに、周りには生徒は誰もいない。
校門の影から、校舎の中から、遠巻きに視線を感じるけれど・・・
毎日、毎日、毎日、毎日。
校舎に入ることすらままならない生活って、どうなの?
心底、そう思わずにはいられない。
私は、普通の生活がしたいの。
朝決まった時間に家を出て、昼間は学校で授業を受けて、放課後は友達と寄り道して。
決して無理な願いじゃないはずなのに。
なぜ、こうも思うようにいかないのかしら。
気にいられるようなことをした覚えは、一切ない!
断じて、ない!!
なのに―――
「彼女は僕と一緒に居たいと言ってます。」
「言ってねー! つーか、早くその手を離せよ!」
「言葉に出さなくても、僕には分かります。 貴方には無理でしょうけどね。」
「思い込み! それ、思い込みだろ!?」
本人を放っておいて、二人は勝手な話を続ける。
その間もバタバタと暴れてみるものの、カーティスの腕は少しも緩む気配がない。
「アイリーンは俺の方がいいって言ってるんだ!」
「僕の方です!」
一歩、また一歩と校舎から離れて行く。
始業を知らせるチャイムが、なんだかすごく遠く感じる。
「離してよ!!」
二人の声を遮るように声を荒げる。
最後の抵抗とばかりに足をバタつかせれば、
「見えますよ?」
「見えるすよ?」
見当違いも甚だしい会話をしていたくせに・・・
こういう時だけそろう声に、余計に苛立ちを覚えた。
18181hit キリリクでアラロスの学パロでした。
キャラのご指定はなし、ってことだったので、
あえてCPじゃなくこんなお話にしてみました。。
い、いかがでしょうか?汗
こちらは、リクエストくださった方のみ
お持ち帰り可能となっております。
彩花さま、リクエストありがとうございました!!
2010/04/02