Only you
たった一つ、
そして、一度きり。
大切で、愛おしくて。
この恋は、誰にも譲れない。
この広い世界で、私は先輩と出会って、先輩を好きになって、
そして、先輩は私を選んでくれた。
すごく嬉しくて、すごく幸せな事だと思う。
だけど、その反面―――
「泣いてるやつがいるって?」
景吾先輩の声に、黙って頷く。
私にとっての『たった一人』が先輩だったように。
誰かにとっての『たった一人』も先輩だったかもしれない。
そう思うと・・・
今の私の幸せが、誰かの不幸の上に成り立ってるものなんだって、改めて実感してしまった。
「それを言うなら、俺も・・・だろう。」
「先輩も?」
「誰かにとって『たった一人』かもしれないお前を、俺が独占してるってことだろう?」
私が誰かにとっての『たった一人』?
そんな事、あり得るのかな?
「現に、俺にとっての『たった一人』はお前だ。」
「先輩・・・」
「だが、誰の幸せを犠牲にしてようと、お前を手放す気なんざねぇからな。」
私も、手放すことなんてできない。
景吾先輩が、私にとっての『たった一人』なのだと確信してしまった。
一緒に在ることの幸せを、
想い、想われることの幸せを知ってしまった。
だから―――
もう、絶対に手放せない。
「誰かの不幸の上の幸せだって言うなら、その責任を取ればいい。」
「責任、ですか?」
「責任取って、俺たちがずっと幸せで在ればいい。」
「誰かを不幸にして、その上私たちも不幸になったら元も子もないから・・・ですか?」
「そうだな。 それに・・・」
「それに?」
「お前が幸せそうな顔してた方が、お前を狙ってるヤツも諦めやすいだろ?」
ちゅっ、小さな音を立てて唇が重なる。
その一瞬で、胸の中が温かく、そして熱くなる。
「俺はお前に想いを寄せてるヤツらがどれだけ不幸になろうが、どうでもいいんだがな。」
「そんな人、先輩以外にいませんよ。」
「フン。 どうだかな。」
誰かの不幸の上の幸せかもしれない。
それでも―――
「景吾先輩のこと、好きです。 ずっと。」
「あぁ。 俺はずっと愛してる。」
「それなら―――」
手放すことなんてできないから。
「私もずっと、愛しています。」
願わくば、誰かにとっての『たった一人』が早く見つかるように。
笑っていよう。
ずっと、幸せで在るように。
10000hit キリリクで跡部×静でした。
時々難しいこと考えちゃうときありますよね。。というお話でした。
こちらは、リクエストくださった方のみ
お持ち帰り可能となっております。
アキトさま、代理リクエストありがとうございました!!
2010/01/27