wariness






先輩は、すごく優しい。

言葉遣いも、雰囲気も、その眼差しも。

全てが柔らかく包みこまれるようで、

一緒にいると、すごく安心する。











「それは困りましたね。」



逆光で表情はよく見えないけれど、小さくため息をついたことだけは分かる。

少しずれた眼鏡をかけ直す先輩。



安心することの何がだめなんだろう?

思わず首をかしげる。



優しい手が頭を撫でる。

何だか心地よくて、思わず目をつむってしまいそうになる。

・・・ほら、こんなにも安心できるのに。



「このままではいけませんね。」



何がだめなんだろう・・・

撫でる手が止まって、顔を上げる。

なぜかすぐ近くに先輩の顔があって、思わず大きく瞬きを繰り返す。



「もう少し、警戒心というものを持ってください。」



警戒心?



「先輩に、ですか?」

「えぇ。」



先輩の指先が私の顎にかかり、顔を上向かせる。



「ワタシも男なので―――」

「え?」



聞き返した声は、柔らかく、優しく触れる先輩の唇に、そのまま飲み込まれる。



「こういうことを考えているんですから。」



唇は離れて、かわりに右手の人差し指の背で、唇にちょんと触れられる。

先輩とキスをしたのだと実感して、頬が少し熱くなる。



「もちろん、信用してもらえるのは嬉しいことですが。」



眼鏡の奥で、先輩の瞳が微笑む。

目が合う。

やっぱりその瞳は優しい。





誰よりも優しい比呂士先輩。

それに、誰よりも大好きな先輩だから。



さっきの名残を確認するように、唇を指先でなぞる。

嫌なんて気持ちは少しもなくて。

残ったのは、くすぐったいような恥ずかしさと、嬉しいって気持ちだけだから。



「でも、先輩にされることで警戒することなんて、何もないですよ?」



正直に伝えれば、



「お願いしますから、もう少し警戒心というものを持ってください。」



両肩に手を置かれ、こんこんと説得されてしまった。























9999hit キリリクで柳生×静でした。

今まで色んなキャラ書いてましたが、
改めて考えると、完全はじめてのキャラでした。
紳士って、難しいですね。。。笑

こちらは、リクエストくださった方のみ
お持ち帰り可能となっております。
アミティーさま、リクエストありがとうございました!!

2010/01/12



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