「苗字ー、柳生ー、一緒飯食って」 「「は?」」
柳生君と過ごす昼休み。今日はなぜかこいつが乱入してきた。
「今日丸井が職員室に呼び出しくらっておらんのじゃもん」 「もんって…、可愛くないよ仁王」 「寂しいじゃろー?」 「…仁王ってさ、そんなナリしててご飯一人じゃ食べれないって女子じゃないんだから。どんな見た目詐欺…」
別に昼ご飯一緒に食べるくらいなんの問題もないんだけどさ。仁王がいつもと違う行動とってると警戒しちゃうというか。…騙されてめちゃくちゃ恥ずかしい思いさせられたからだろうけど。
とにかく嫌な予感がする。…やだなあ、こういう勘って外れないんだよね。
「仁王君、またそんなバランスの悪い食事をしているのですか?」 「別にええじゃろ」 「いいわけがないでしょう。スポーツマンに食事がどれだけ大事か…」 「あーうるさい。おまんは母親か。全く、苗字はこんなのの何を好きになったんじゃ」 「「……は!?」」
多分仁王は何気なく言ったんだと思う。流すことだってできたんだ。でも予想外の言葉に思わず固まっちゃって、そんな私を仁王が見逃すわけもなく。
キョトンとしたのは一瞬で、次の瞬間には動揺した私をにやりと笑って捉えていた。
「そういや、なんで好きになったとか聞いたことないのう?」 「あ、はは。別にいいじゃんなんでも。ね、ねえ?柳生君?」 「っえ、あ、はい…っ!?」 「ほら、柳生も気になっとるじゃろ」
ええー…?柳生君、私の味方じゃないんですか?
「ち、違いますよ!?た、確かに苗字さんの気持ちが気にならないというわけではないんですが、そのようなことを聞き出すなんて紳士として…っ」 「「………」」
柳生君顔真っ赤。ってか、え?何この流れ。
「…お前さん、柳生に好きとか言っとらんのか?あれじゃ柳生が不憫じゃ」 「すっ!?…言って…あれ?そういえばはっきりとは言ってない…?」 「なんじゃそれ」 「いや、誕生日祝おうと呼び出したらあんたのおかげで柳生君から告白されて、びっくりしてはいって言っただけ…?付き合い始めてそんなに時間経ってないし…」 「…柳生が可哀相じゃろ」
ちゃんと柳生君のこと好きって言ってない?いやいや、そうだとしてもこんなタイミングで言うことじゃない。柳生君固まっちゃってるし。
「苗字が柳生を好いとるなんて言われるまで気付かんかったし。柳生はわかりやすかったんじゃがのう」 「へ?」 「用もないのに俺のクラスに来よったし。普段やったら気にせんようなことまでわざわざ説教しに来るんじゃからいい迷惑じゃったのう。俺に説教しとるのに目線は苗字に「仁王君っっ!!!」…うるさいぜよ」
うわ、柳生君がこんなに取り乱してるとこ初めて見た。顔はさっきより赤いし。…多分、私もだけど。
だって何それ、初めて聞いた。
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