これの番外編です
強がって、がさつで、女の子らしさのカケラもなくて。
こんな自分が、大嫌い。
「……」 「怖い顔してどうしたんじゃ。俺に話してみんしゃい」 「誰があんたなんかに話すか。柳生君の誕生日に恥かかせたことマジで許すつもりないからね」 「ククッ、口悪いのう?そんなんじゃ柳生に嫌われるぜよ」 「…っ、」
馬鹿仁王…、今そんなこと言うなってば…!!
私どんな顔してるんだろ。仁王が目を見開いて、さっきまでのふざけた顔を止めて真剣に私を見つめてる。
「…柳生となんかあったんか?」 「なんも、ない…」 「泣きそうな顔して強がるのはやめんしゃい。ちゃんと聞いちゃるけえ、話しんしゃい」
ああもう、やっぱり仁王は馬鹿だ。こんな情けないとこなんて、見せたくなかったのに…。
「…ヤキモチ、のう」 「…似合わないってのはわかってるんだけどね。っていうか、柳生君がみんなに親切なのは知ってたし、それが柳生君のいいとこなんだけどさ…」
荷物をたくさん持った女の子がいれば走って駆け寄り自分が持って、女の子に気を遣わせないように笑顔でお喋りしながら2人で歩く、なんて姿を何度見たんだろ。
なんでもない時ならいい人だなで終わるけど、私と一緒にいる時に困ってる女の子を見付けて、私を待たせて助けに行っちゃうのには流石にへこむ。
「私が柳生君に似合わないとかさ、十分わかってるんだよ。柳生君に助けてもらってる女の子達みたいに可愛くいるなんて無理だしさ、仁王が言うみたいに口も悪いし、見た目だっていい加減だし」 「……」 「だから、絶対に我が儘とか言いたくないし、迷惑かけたくない。…なのに、こんな風に嫉妬とかしてる自分に本当にいらいらする…っ」
ぐっ、と掌を握りしめて俯くと、仁王が頭を撫でてきた。
「…なに」 「苗字も女の子だったんじゃの、と思って」 「は、どこが…」 「そんな風に気にしてくれとる好いとる彼女を、可愛く思わん男はおらんよ。なんも思わんとか言われたら、柳生なんてやめときんしゃい。そんなん男じゃなか」
笑いながら話す仁王に、思わず笑いが込み上げてきた。
「…仁王、あんたやっぱいい奴だね」 「お、じゃあこの間騙した件チャラにしんしゃい」 「はは、それは別」 「…せこい奴じゃの」
…仁王がいてくれてよかった。 ちょっとだけ、素直になる勇気でたよ。
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