1万打 | ナノ







※夢主がレギュラーと出会う前



初めまして、なのかは分からないけど、こんにちは。僕の名前はちーと言います。

本当はいろんな名前を付けられているけど、僕が一番気に入っているのはこの名前。名付けてくれた名前のことが一番好きだからだと思う。

3年前にこの学校に迷い込んでからここにずっと居座っている。最初の1年は、人間がいっぱいの場所って危険だし、たまに貰える食べ物と綺麗な環境だけのために居座っていた。

1年経って、どこかに引越そうかなと思った矢先に名前と出会った。見たこともないくらい綺麗な人間にびっくりして、受け取ったことのないくらいの愛情を貰って大好きだなあと思った。

名前と出会って、ここにいる人間を観察するようになった。そしたら、なんで今まで見なかったんだろうって思うくらい人間は面白かった。

だから今日も、僕はこの学校を動き回る。


「お、にゃんこじゃ」


あ、仁王だ。変な喋り方する奴。仁王は餌くれるから好き。でもきっとばかなんだ。


「仁王、お前はまた野良猫に餌を…」
「今日まだやっとらんよ」


いつも同じ場所で餌をくれるけど、その度に柳に見付かって怒られてる。場所変えてくれればいいのに、僕まで怒られてる気分になるじゃんか。


「お、苗字様じゃ」


2人が向いてる方を見ると、本当に名前がいる。気付いてもらいたくて小さく鳴くと、名前はこっちを向いて嬉しそうに微笑んでくれた。


「「〜〜っ!!」」


2人が息を飲んだのがわかる。残念でした、名前は僕を見て笑ったんだよ。

名前に見惚れている2人に退屈して僕はまた歩き出した。


「丸井先輩!!苗字様いますよ!!」
「まじ?うわ、今日も綺麗…」
「当たり前じゃないッスか!いいなー…苗字様と喋ってみたい」
「無理に決まってんだろぃ」


勝手なこと言ってる。名前は気を遣ってるだけで友達が欲しいのに。そういう勝手な想像で名前を寂しくさせる奴は嫌い。


「うわ、猫!?」


むかついたけど怪我させたら怒られるから、制服に体こすりつけてやった。毛取るの大変だもんね。


「彼女は今日もお美しいですね」
「うむ。一度くらいは話してみたいものだ」
「彼女はきっと想像もできない程高尚な会話をなさるのでしょうね」


あ、真田だ。真田は苦手。だって一回力付くで追い出されそうになったことあるんだもん。もう一人は…名前は知らないけどよく朝校門の近くで真田と立ってる人だ。

っていうか、名前に話しかけたいなら話せばいいのに。名前は頭いいけど、そんな難しいこと話さないよ。抜けてるとこだっていっぱいあるし、子供みたいなとこもある。この2人も想像ばっかり。真田に怒られたくないから攻撃はしないけど。







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