センパイと

いつも俺のクラスはかなり終礼が終わるのが早い。
何たって担任がおおざっぱだからね。

助かるけどさ、2年の教室に行けるから。



まだ他のクラスは終わってないようで、ガラガラの廊下を一目散に、階段を駆け上がる。



あ、今日は窓も閉まってる。中見えないじゃん。
騒がしく声がしているから、まだ終礼が終わってないんだろう。

壁に持たれて、先輩が出てくるのを待つ。




ガラッと扉が開いて、覗いた顔は先輩のお友達さんだ。

「あ、こんちはー」

「洋平くんじゃん。倉橋待ち?」

「もちろん」


すっかり先輩のクラスでも顔が知れて、みんな先輩へのアプローチを見守ってくれている。



「倉橋ー!洋平くん来てるぞー」

「ちわー!せんぱーい!!」


先輩のお友達さんの横から顔をだして、教室を覗き込んで先輩を探す。


いたいた。
ちょっと迷惑そうな顔してるけど。

ヒラヒラと手を振ると、一応返してくれる。
…と思ったら、後ろの扉から友達と出ていった。


「せんぱい!待ってー」


今日も今日とて歓迎されない。
先輩のクラスの人たちは歓迎してくれるのに。


「なんで先行くんすかあー…せっかく待ってたのに」

「いや、毎日毎日悪いけど、わざわざ来なくていいよ」


それは遠回しに来るなと言ってるんだろうけど、先輩は優しいからそう単刀直入には俺に言えないらしい。
だから俺は気付かないフリ。



「俺が勝手に先輩待ってるんで、気にしないで下さい!」

「あ、いや、そうじゃなくて………」


困ってる先輩、かわいーなー……。
ちゅーしたい。




「たまには後輩くんと帰ってやれば?」

引き下がらず先輩の足止めをしていると、先輩の横にいたこれまた友達らしき人が、俺に味方してくれた。


「うーん………」

「ね、お友達さんもそう言ってくれてるし、いっしょに帰りましょうよー!」


なんだか今日はいけそうな感じだ。がんばれ俺!

自転車に荷物乗せますし、ね!?と半ば無理矢理押し切ると、


「仕方ないなー………」

「やった!」


押しに弱い先輩もかわいい。
先輩の友達さんにお礼を言って、先輩と並んで階段を下る。



「なんでそんなに僕と帰りたいの?」

「え?そんなの先輩が好きだからに決まってるじゃないですか」

「……へんなの」


えー、というと「だって僕洋平くんのことなにもしらないし」と。
先輩は知らなくても、俺が知ってるからいいのよ。


「じゃあ親睦を深めに俺の家でも来ますか?」

「まさか、遠慮するよ」



苦笑いする先輩も可愛いんだから。





*

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