ヨウヘイと


「うーす」

「ハヨ」

教室に入ると数人しかいねえ。いつめより早く起きたから気晴らしに10分くらい早く来たらこれだ。

ヨウがちらりとこちらを見て手を挙げた。


「おう、ヨウお前髪跳ねすぎだろ濡らしてこい」

「気にしてんだよほっとけ!」

なら家で必死に直してこいよこんな早く学校来る前に。

コイツはちょっとバカだ。



「なにやってんの」

「美術の課題」

「うわ、めんど」


洋平とはまあまあ長い仲だ。まあカズヤよりは短いが。
こいつにだけはなんだか強気に出ても大丈夫な気がするから不思議だ。ちなみに別に普通に怒るぞ。


自分の席に鞄だけドサリと置く。
隣はまだ来てない。
因みに隣ってカイだから。


「へいへーいふんはーっ」

「おい変な歌歌うな」


ちょっと感傷に浸りかけていた俺を引き戻すのは、ヨウの作った意味わからねえ鼻歌。

決してフレンドリーじゃないくせにこういったところは恥じらいがない。
だから天然記念物とか不思議クンとか言われんだよ。

どうでもいいが、さくらんぼの皮を剥いて食べるのは天然記念物でも頂けねえぞ。
あと苺の種をほじくるのもやめてくれ、無謀すぎる。




とかいってこいつクラス委員だから。
世の中わかんねえ。


「なー、今更だがなんでお前がクラス委員なわけ」

「アキラもじゃん」

「俺は副じゃねーか!なんでお前が正なんだ!」


正クラス委員と副じゃあ全然違う。気持ちが。
しかも投票でヨウに負けたなんて俺の中のなけなしのプライドがズタズタだ。


「お前だけには負けたく無かったんだよ……」

「えっなにそれひどい」

「俺お前よりは真面目に見えると思うんだけど」

「日頃の行いじゃ……ってェー!!頭叩くな馬鹿になるだろ!」

「なればいいんだよ腹立たしいな」

「あー、中間は俺のが順位上だったしね」



プツン、となにかがきれた。おい学習しろ俺お前にだけは負けたくねえんだよ!それを持ち出すな!



「上っつっても一つしか順位かわんねーし。合計点も6点しか変わんねぇし」

「まあまあ、俺の方が上は上だから」

「てめえうぜえぇえええ!!!」



ぜってえ期末は抜かしてやる覚悟しとけよこの野郎。

まあこんな感じでお世辞でも気が合うとは言えない俺達。
しかしまあキレキャラでもウザキャラでもない俺がここまでぶっちゃけて話せるのはこいつくらいなんで。


そこそこには重宝してます。




「あ、絵の具ついた」


「えっおま、俺につけんなあぁぁあ!!」



前言撤回、とりあえず一回トイレに流れてこい。
シャツについた色もし落ちなかったらクリーニング代請求してやる。




*

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