心音は途切れない | ナノ
心音は途切れない



獄寺×黒川



情事の後、隼人は隣りで眠っていた。私は熱も冷めてぼんやりと天井を眺める。殺風景な部屋。

隣りで眠る彼を見詰め、頬を撫でる。髪が汗で皮膚に張り付いているのを指先で拭う。少し目を覚まし、こちらを見ると不意に抱き寄せられた。

左胸に右耳が重なる。心音が聞こえた。


コイツ、生きてる


不意に殺したくなる衝動。でもそれは刹那で、実行するには足らない。
心音は規則正しく聞こえてくる。息を殺してそれを聞く。苦しくなって、呼吸をすれば、隼人に髪を撫でられた。不意に現れた衝動はすぐに薄らいでいく。でも僅かに残る。

「隼人…、愛してる」

同時に、殺してやると胸の中で呟く。

隼人は何も言わずにまた髪を撫でる。
殺さないでと言うように。



end





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