獄寺×黒川 情事の後、隼人は隣りで眠っていた。私は熱も冷めてぼんやりと天井を眺める。殺風景な部屋。 隣りで眠る彼を見詰め、頬を撫でる。髪が汗で皮膚に張り付いているのを指先で拭う。少し目を覚まし、こちらを見ると不意に抱き寄せられた。 左胸に右耳が重なる。心音が聞こえた。 コイツ、生きてる 不意に殺したくなる衝動。でもそれは刹那で、実行するには足らない。 心音は規則正しく聞こえてくる。息を殺してそれを聞く。苦しくなって、呼吸をすれば、隼人に髪を撫でられた。不意に現れた衝動はすぐに薄らいでいく。でも僅かに残る。 「隼人…、愛してる」 同時に、殺してやると胸の中で呟く。 隼人は何も言わずにまた髪を撫でる。 殺さないでと言うように。 end 110302 main |