獄寺×ザンザス 三十年後 xxxさまに提出 「Buon Compleanno」 スクアーロにガミガミ言われながらもヴァリアーのアジトまで来て、ザンザスのいる書斎に来た。忙しいようで最近連絡も取っていなかったから、来ることも伝えていなかった。書斎に入れば振り返って俺を見て驚いた様子で、目を丸くした。 「隼人、来たのか」 「恋人の誕生日は祝うもんだろ、」 「……」 ザンザスは黙って俺を見れば小さく笑った。付き合いは長いけれど、若い頃はあまり笑わなかったザンザスは段々と丸くなって、時々笑うようになった。今日で彼は五十四歳になる。俺は四十四歳。随分と歳をとったと思い返す。ザンザスは椅子に深く腰掛けた。バラバラと置かれていた書類を片付ける。俺は傍に行ってザンザスを見詰めた。 「徹夜続きか、」 「昨日寝てねぇだけだ」 「髭剃ってねぇの見りゃ分かる」 俺に言われてザンザスは顎に触れて頷いた。白髪交じりの髭に触れてみる。いつもきちんと髭を剃っているから、触れるのは初めてかもしれないと思った。それと共に何だか愛しくなって抱き締めた。 「んだよ、」 「…愛してる」 「…ん」 俺はポケットからピンクのリボンを取り出して、素早くザンザスの首に巻きつけた。丁寧に結ぶ。彼は眉を寄せてそれを見た。怪訝そうな表情をしてリボンの端を摘む。 「…殴られてぇのか、」 「いや、かわいいなーみてぇな」 「この歳になってついに頭が沸いたか」 「沸いてねーよバカ。…若い頃思い出すなって。…俺にリボン付けてお前が笑ってたの、思い出した。…俺の誕生日に」 「仕返しか、」 「…ふっ」 ザンザスは呆れたように笑った。何で俺がずっとコイツの傍にいたのか、きっとそれは笑う顔が見たかったから。時々笑うザンザスを見て俺は幸せになる。俺が先に死ぬか、ザンザスが先に死ぬかなんて分からない。ずっと傍にいられたら良いと心の中で呟いて、また抱き締めた。 「今日は俺と寝るか」 「…ん」 「それかセックスするか、」 「…体が軋むからやめてくれ」 end 100829 main |