山本×獄寺 ―3:43 変な時間に起きてしまった。隣で獄寺が静かに寝ている。頬を撫でたり髪を撫でたりしても全く動かない。もしかして死んじゃったんじゃないかと思って唇に触れたら、微かに空気が出入りしていた。自己中心的だけど獄寺が起きてくれたら良いのに、なんて思った。 起きないかな。 ―3:48 時間が経つのが遅い気がする。獄寺はさっきと変わらない格好で寝ている。寝返りも打たない。でも表情は柔らかで、気持ち良さそうだ。俺はと言えば、つまらない。決して気持ち良くは無い。でも変な心地良さもある。 「獄寺…」 微かに空気が出入りするその口を塞いだらどうなるのだろうか。 窒息、 その唇を優しく撫でて、唇を重ねると不思議と唇は重なり合う。キスをする為にこの口が有るみたいだ。 獄寺は苦しそうに眉を寄せている。その表情に煽られる、俺。悩ましげな、その表情は心に微かな電流を流した。小さく開いた口に舌を入れ、舌を絡ませると獄寺の喘ぎが微かに聞こえた。 「ん…っ…」 窒息しそうな魚みたいに酸素を求めて口は開くから、それがまるで俺を求めている様にも見える。自己中心的な考え方だけど。 「…っ…てめ…」 銀色の睫毛が震える。翡翠色の睛が虚ろに光る。漸く獄寺が目を醒ました。 ―3:54 「…ん、獄寺」 「何やって……」 「苦しかった、」 「…苦しかった」 どうしようもない嬉しさに刈られる。獄寺が苦しかったと言うのに。自分は、サディストなのかもしれない。再び獄寺にキスをしたら顔を真っ赤にして、でも受け入れてくれて。唇を離したら名残惜しそうな獄寺の顔があった。幸せな気分になる。 「よし、寝るか」 「…人を起こしといてそれかよ」 「今夜は寝かせねぇとか言って欲しかったか、」 「よし、寝るぞ」 「ちょ、獄寺ぁ」 「またいつかな」 ―3:58 俺等は最後に一度キスをして幸せな気分で再び眠りについた。 end 090228 main |