ディーノ×獄寺 天城蒼さまから そう言えば朝のニュースじゃ本日の気温は30℃近くまで上がるでしょう、なんていってた気がする。 どうりでクソ暑いはずだ、そんな事を考えながらゴロリ、と獄寺はベッドのうえで寝返りをうった。 家中の窓は全部開けっ放しにしてあるし、服装も珍しくTシャツにハーフパンツというラフな格好にしてあるのに感じるのは日本の夏特有のジメジメとした蒸し暑さだけだ。 「あ゛ー、なんでこんなに暑いんだよ…」 クーラーをつければもう少しはましになるのだろうがあの人工的な冷気はどうやら自分の体には合わないらしく、つける前よりも体調が悪くなるのは目に見えている。 日本の街の住みやすさはかなりの物だと思うが夏だけはいただけない。 (……それでも、イタリアに帰ろうとは思わねぇもんな…) もとより、あそこには大した執着は無い。なにより、 ここには十代目だっているし。 …そうだ、どうせなにもすることがないんだから十代目の所にでも伺えばいい。 手土産にアイスでも持っていけば喜ばれるかもしれない。 そう考えて体を起こすと開けっ放しにしていた窓からギラギラと照りつける日の光が目に入った。 夏特有の自分の存在をこれでもかと主張する陽光に、ふと今も忙しくイタリアで働いているであろうへなちょこなマフィアのボスを思い出した。 この太陽みたいな金髪とか、笑顔とか。あぁ、そういえば夏休みに入ったら一回くらい帰って来いなんて言ってた気がする。(勿論そんな気はさらさら無いが。) 最後に会ったのいつだっけ? 最初の目的も忘れて、らしくもない考えを巡らせているとふいにチャイムが鳴った。 (この暑いのに…誰だよ) 居留守使うか?とまで考えていや、十代目だったらまずいし、としぶしぶ玄関に向かう。 ドアを開けに行くまでもチャイムはひたすら鳴り響いている。 もとより気が長いほうではなく、その上この暑さのせいで元々あまり機嫌が良くなかったせいで完全にブチ切れた。 「あーもう、うるせーー!!!」 勢い良くドアを開けた瞬間響いたのはゴン!!という鈍い音で。 (……やべぇ) ドアの目の前に立っていたらしい客(仮)は額を強打したらしく、しゃがみ込んで悶絶している。 「お、おい、大丈夫か…よ、ってお前!!」 「ってー、相変わらずだな、隼人」 ハハッ、といつもと変わらない笑顔で現れたのは、 黄金の、太陽。 「ディ、ディーノ、どうして」 「ん?だってお前せっかく休みに入ったってのにお前全然イタリアに戻って来ねぇーじゃん」 「仕事は、」 ロマーリオに無茶言って頑張ってもらった。なんて中々外道な事を言って、当たり前のように部屋の中に入っていく。 「それに、これ以上可愛い恋人に会わなかったら多分、中毒症状が出て仕事も手につかなくなるしとこだったし。」 …この男は時折天然でこんな事を言うから恐ろしい。 部屋の気温がさらに上がった気がするが多分熱くなったのはオレだ。 「それにしてもやっぱり日本暑いな。クーラーつけてもいいか?」 「ダメ。それにオレ、そんなに暑いの嫌いじゃねーし」 「えーー」 「えーーってお前子供か!それに暑いならくっつくな!!」 ピットリとくっついてきた大きな子供の髪がキラキラと光った。 (本当に、太陽みたいだ…) 本当は、夏なんて暑いだけで嫌いだし、イライラするだけだ。 なのに、 どうやら太陽のほうがオレから離れてくれないようなので当分夏を楽しむしかないようです。 end 120408 main |