そろわないトランプ | ナノ
そろわないトランプ



ディーノ×獄寺



久し振りに隼人の家に行ったら、随分と散かっていた。
どの程度かと言えば、唯トランプがばら撒かれていた。

「隼人、何でこんなに散かしたんだ、」

と隼人に訊いたら、

「トランプやっただけだろうが」

と言われた。唯やっていた様には全然思えない。

「で、トランプで何をやっていたんだ、」

まるで取り調べの様な訊き方だった。でも此の散乱の仕方と言ったら他に例が無いから。

「ダウト、」

首を傾げ乍言う隼人の答えは曖昧だ。
如何して一人でダウトが出来よう。

「それダウトッ、」

「何でバレるんだよ」

「だって首を傾げ乍言うし、一人じゃダウト出来ねぇだろ、」

隼人は罰の悪そうな顔をして床に座り込むとトランプを弾き飛ばしたり、重ねてみたりした。

「…スピードやってた」

「それも一人じゃ出来ねぇって。隼人、トランプのゲームあんま知らねぇだろ」

「んな事ねぇ、あれだッ、ブラック・マリア」

ブラック・マリアなんてよく知っていたものだ。ハーツって言えば良いものの…。

「其れ尚の事出来ねぇって。それ普通四人でやるし」

言った瞬間にトランプ数枚投げられた。はらりはらりと俺の前にトランプが落ちていく。
僧職の聖杯(ハート)、騎士の剣(スペード)、商人の貨幣(ダイヤ)に農民の棍棒(クラブ)。

「ほんとは、何してたんだよ、」

最後に優しく聞いたら、隼人は俯いて小さく答えた。

「七並べ。…んでも一枚足りなかったんだよ」

一枚一枚並べていくと、穴が一つ開いた。ダイヤの7だった。

「此れが足りないから苛々してばら撒いたんだよ」

なるほど、と思った。


「それなら俺が此の間持って帰った」


俺はポケットに入っていたダイヤの7を出した。

その瞬間殴られたのは言うまでも無いだろう。



end





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