崩そうと思えば簡単 | ナノ
崩そうと思えば簡単



獄寺×山本



何年付き合ったか知らない。いつ付き合い始めただとか覚えてない。んな細かくて下らない事なんざ覚えてない。山本はいちいち覚えてて、付き合い始めた日にはケーキを買ってくる。今日がその記念日とやららしい。

「獄寺、まだ覚えてねぇの、」

「覚える気ねぇ」

「んー…そっか」

そうして淋しさを隠すみたいに笑う。苛立ちを覚える。怒るなら怒ればいい。笑うなら目一杯笑えばいい。なのに。

「俺と付き合ってるメリットってなんだ、」

「……メリット、」

「メリット」

「……」

「……」

腑抜けた面。苛立ちすら忘れてしまいそうだ。放置プレイされたケーキを眺める。

「…あ、シャンプーきらしてたから買ってこなきゃな」

「…そっちじゃねぇ」

呆れて苦笑する。こんな馬鹿な奴見たことねぇ。飽きない。いつだってこいつとの関係を断つ事が出来たのに。

今までしなかったのは、



むしゃくしゃしてケーキを山本に向かって投げた。顔面にヒット。やっぱ馬鹿。



こいつごと喰っちまいたい。



end





芸術的な嘘なら許せよ
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