六道×獄寺 僕はあまり煙草が好きじゃない。 吸おうとも思わない、寧ろ吸いたく無い。でも君は僕の前で平気で吸う。 初めの内は嫌がっていた。何故って、煙たいったらないし、キスをしたら唯苦い。 でも僕は君が好きだから、君の傍から離れる事も出来ないし、キスをするのも止められない。 「隼人、禁煙したら如何ですか、」 ある時僕は彼にそう訊いてみた。 すると彼はこう言った。 「嫌だ」 って。判りきった事だったが。 「…お前、煙草嫌か、」 その次にこう返された。確かに好きではない。でも、はっきりと嫌いと言えない。 「…お前が嫌っつうなら…少し考えてやるよ」 僕は耳を疑った。彼が口にしたとは思えなかったから…。 禁煙をした彼を考えてみる。そんなのは落ち着かない。これが彼の匂いだから。 背中を抱き締めたらふわりと匂って、キスをしたら苦くて。それが彼なんだ、と今頃気が付く。 「やっぱりいいです。今のまま、このままの隼人が好きです」 隼人は小さく笑みを浮かべた。 優しい、僕にだけ見せる笑顔が好きで。 「無理はすんなよ、」 そう言って、キスをした。 …やっぱり苦い。 でもそれが君。 end Cremation 120408 main |