シャマル←獄寺 よく俺は馬鹿だのアホだのとシャマルに言われる。腹が立つけど、その通りだからやっぱり腹が立つと共に、虚しくなった。何故ってそりゃ、俺がシャマルに気がある事に気付いたからだ。それでもって、幸せになりたいなんて心の隅で思っているからだ。 「お前も懲りねぇなぁ」 「っ…、あ…んっ…」 抱かれながらいつも考える。どうしたら俺だけの事考えてくれるだろうかって。せめてこうして繋がっている間だけでも俺の事だけ考えて欲しいと思う。けれどそれは叶わない。分かりきったこと。 「俺より他に誰かいるだろ、大切にしてくれる奴」 そうかもしれないけど、他の奴じゃ駄目だ。シャマルじゃなきゃ駄目なんだ。そう思っているのに口には出せない。代わりに涙が滲む。 「いっつも切羽詰った顔して」 「ん…っ、」 奥を突かれる。指先まで伝わる甘い痺れ。凄く好きで。シャマルの背にある手をぎゅっと握った。いっそ爪を立ててやろうかと思ったけど、出来なかった。 「あ、も、だめっ…、イくっ…」 「っ…、」 絶頂に思わず声を上げる。そして思わずシャマルに抱きついた。中に出されたのを感じて少し幸せになる。それもほんの束の間で、キスを求めても唇を撫でられるだけ。 不意にシャマルの携帯が鳴った。多分、女から。絶対女から。シャマルはベッドの脇に手を伸ばして携帯をとる。着信を見て少しにやりと笑う。いやらしい。 「ん、明日かい。分かったよ。本当は今すぐにでも君のところに行きたいけどね」 電話を切ってから俺の顔を見て可笑しそうに笑う。 「なに不機嫌そうな顔してんだ」 「…別に」 「俺はお前の彼氏じゃねぇし、今電話を掛けてきた子の彼氏でもねぇ」 ずるりと引き抜かれ、シャマルはベッドから抜け出す。白いベッドに取り残される。一人で寝るには少し広い。苦しくて、悲しくて、どうしようもなくて。引き止めることさえ出来なくて。無力過ぎる自分が悔しい。 シャワーを浴びに行くシャマルの背中を見つめた。俺の視線に気付く筈も無く。 幸せになれないと、最初から分かっていた。 それなのに幸せになりたいと思ってしまった自分は、自分で自分を不幸にしていた。 それでも幸せになりたいと、心の奥底から思っていて、 end 090401 main |