獄寺←京子 私は獄寺君を愛してしまった。体が彼を欲している。心の底から愛していて、何でも良いから彼を手に入れたかった。 やっと手に入れたチャンスにキスをしたら、凄くキスが上手くて、ちょっと苦くて、濡れた。 誰が私を純粋だとか言ったのか分からない。私は純粋なんかじゃない。彼の事を考えながら一人でシながら夜を過ごしたりだってする。良いじゃない、愛してるんだもの。はしたないだなんて言われたくない。 本当に本当に愛してる。何度彼の名前を口にすれば手に入るのか、何度彼の体を視線で撫でれば手に入るの。同じ問いを繰り返す。 恋煩いで苦しくて苦しくて保健室に行く。動悸がするんだもの。そしたらばったり獄寺君に会って息が詰まりそうになった。目が濡れた。媚びてるんじゃない。本当に、首を絞められて涙が出て来るようなもの。獄寺君はそんな私に何かしら気付いて抱いてくれた。言葉なんていらないと思った。彼が私の腕の中にいることと引き換えに言葉を神様にあげたい。 抱かれた日を何度も思い出しながら自分の体をなぞる。快楽が欲しい。彼から与えられる快楽が。欲しくて欲しくて仕方が無い。淫乱なんかじゃない。人間だもの、欲がある。 獄寺君に愛してると言ってみた。小さく笑ってキスをしてくれた。直後に獄寺君を呼ぶ声。またな、って掠れた声で囁いて背を向けて歩いていった。 酷い。抜け出せなくない場所に落された。愛されたい。 面倒臭い女に成り下がってしまった。優しくしないで。これ以上されたらおかしくなりそう。 嗚呼、嘘。優しくされたい。たまに意地悪されたい。キスしたい。セックスしたい。愛されたい。 このくらい欲張りだって罰なんかあたらない。 だって女の子だもの。 愛されたいよ。 愛したいよ。 end 091023 main |