紅茶の海に角砂糖 | ナノ
紅茶の海に角砂糖



獄寺×綱吉



今日は久々に獄寺君とデートをする。お昼を一緒に食べて、獄寺君の家に行くという流れだ。獄寺君が段取りをしてくれた。久しぶりのデートにどきどきしながら待ち合わせ場所に行った。
待ち合わせ場所にはもう既に獄寺君はいて、俺の姿を見るなりきらきらとした笑みを見せてくれた。獄寺君は普段にもましてお洒落だ。俺はといえば普段着で来てしまったので今更後悔する。

「ごめんね、待たせちゃって」

「いやいや今さっき来たばかりですからっ」

とか言うけどきっと三十分前には来ていたに違いない。まだ手は繋げなくてもどかしく感じた。

「どの店が良いっスか、」

「うーん……獄寺君に任せるよ」

「んー…じゃあ決めますね」

街を二人で歩いていく。色んな店があって、空腹の今は何処も美味しそうに感じる。獄寺君はふと立ち止まって、お洒落なレストランの前で立ち止まった。

「此処にしましょう」

「あ、うん」

二人で其のレストランに入る。中は落ち着いた雰囲気で中学生の俺達には少し場違いなのかもしれない。獄寺君は店員に喫煙席でとすんなりと告げ、俺の方を振り向き席に座った。

「十代目、何にしますか、」

「…うーん…ミートスパゲッティが良いかな…」

「俺はボンゴレスパゲッティで」

店員にオーダーを頼む。俺はついでに紅茶を頼み、獄寺君は珈琲を頼んだ。獄寺君は珈琲に砂糖もミルクも入れずに飲む。其れを見る度にかっこいいなと思った。

紅茶と珈琲が運ばれてくる。湯気が立ち淡い匂いがした。
俺はそれにミルクと角砂糖をぼとぼと入れる。獄寺君は珈琲を一口飲む。俺は角砂糖をぼとぼと入れた。獄寺君のカップを持つ手がふと止まる。俺を少し驚いた顔をして見つめていた。首を傾げてからまた角砂糖を入れてぐるぐるとかき混ぜる。
獄寺君はまた俺の顔を見た。俺と目が合うと反らす。獄寺君の反らした目線の先には、可愛らしいウエイトレスがいる。俺は思わず眉間に皺を寄せる。

「…獄寺君、」

「は、はいっ」

「何考えてたの、」

「えっ、いや特には…」

「あのウエイトレス、」

「………へ、」

「さっき見てた」

「ま、まさかっ。十代目の事を考えていたんですよ」

獄寺君はあたふたと言ってから、しまったというような表情をした。俺はますます眉間に皺を寄せる。普段は反対だから変な気分だけど。

「ほんとの事言って」

そんな時にスパゲッティが運ばれてくる。獄寺君は気まずそうにゆっくりと口を開いた。

「…その…角砂糖入れ過ぎでは…、」

そう言われて改めて気付く。俺の片手はまたしても角砂糖を紅茶に放り込んでいた。

「………確かに」

「…気を付けて下さいね、」

「…………うん」

どんな俺でも君は愛してくれると思うけど、メタボにはなりたくないと思った。



end





090622
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