山本×獄寺 五年後 「ごくでらっ」 「…んだよ、」 「第二ボタン貰ってっ」 「…は、」 俺達、ツナと獄寺と俺は並盛高校を無事に卒業する事が出来た。ちょっと留年の危機な時もあったけど。何とか三人で高校卒業まできたんだ。中学の時よりも俺等は仲良くなった気がする。獄寺は相変わらずだけど。獄寺が相変わらずでも俺は違った。中学から今にかけて時を重ねるだけ獄寺が好きになっていった。魔法にかかっちゃったみたいに。 「何で俺がお前の第二ボタンを…、」 「好きだからっ」 沢山の女の子から死守した学ランの第二ボタンを獄寺に差し出す。獄寺は驚いた顔をして第二ボタンを見た。 「マジで言ってんの、」 「うん、マジ」 俺の顔をまじまじと見てから俺の額に手をあてる。どうしよう、熱ないのに熱出そう。 「…マジか」 俺に熱がないのが分かったみたいで手を離してから俺の手元に有る第二ボタンを受け取った。心臓ばくばく。これ投げ捨てたりしないかな。そんな事思いながら獄寺を見てたら、獄寺は第二ボタンを日に翳したり色々な角度から眺めたりする。一通り眺めてから口に入れた。 「ああああっ、ごごごごくでらっ、」 「ん」 喉仏が動いた。 「の、飲み込んじゃったのかっ、だ、出さなきゃ駄目だって、つうか飲み込んじゃ駄目だってばっ、」 「…お前慌て過ぎ」 獄寺が可笑しそうに笑ってから不味そうに口から第二ボタンを出した。てらてらしてる。 「舌の下に入れて、こう飲み込んだフリを一度してみたかったんだよな」 「ごくでらぁ…」 びっくりした。胸を撫で下ろした。獄寺は自分の学ランを見て第二ボタンをぷつりと取った。すると、それを俺の胸ポケットに入れた。俺の第二ボタンは獄寺の胸ポケットに入れられた。獄寺は翡翠色の瞳を俺に向ける。 「お前さ、俺が第二ボタンごときで喜ぶと思ってんのか」 獄寺は歩き出す。何処かへ。擦れ違う時に獄寺の苦くて甘い匂いと共に掠れた声が聴こえた。 「…物じゃなくて、心をくれよ」 とくんと跳ねる心。 持っていかれる心。 思わず振り返る体。 俺等はこれからマフィアになる。 end 090304 main |