死体の上に立ってキス | ナノ
死体の上に立ってキス



ザンザス×獄寺 死姦



俺は戦地に出向いた。死にに行くわけじゃない。ただ、彼に会いたかった。ザンザスに、会いたかった。ザンザスは一人で敵のアジトへと乗り込んだ。半日で殲滅した事が報告された。十代目にザンザスが殲滅した場所にある匣とリングを回収してきて欲しいと頼まれたのも頭に置き、血塗れの敵のアジトに侵入した。入り口付近から既に死体が転がっている。一人ずつリングと匣を取りながら赤い足跡を辿った。分かる、ザンザスの足跡だ。
歩いている途中に全裸の死体があった。四肢が無造作に投げ出されている。犯された後だ。

「…ザンザス」

微かな呟きもよく響いた。彼の耳にまで届いたかどうかは分からない。届いていれば良い。
一番奥の部屋が会議室で、このアジトのボスがいたであろう部屋だ。そこにザンザスはいるだろう。俺は破れた扉を抜けた。やっぱりそこにザンザスはいた。もう既に死んでいるボスの顎を持って見つめている。表情は無いが、何か浸っている様子だ。

「次のお相手は彼か」

「…隼人、」

するりとザンザスが手を離すと、死体は音を立てて床に転がった。見ればまだ若い男だ。

「死体犯して楽しいのか」

「……」

「俺は断然生身派だ」

「…馬鹿か、」

会議室の長いテーブルを見詰める。ずっしりとしていて年期の入ったものだ。数人が床に転がっている。テーブルに赤い足跡。ザンザスはこのテーブルに乗り、皆殺しにした様だ。

「……死体は、温かみに欠ける。鳴きもしねぇ。表情もねぇ。…だから、死体を相手にする。死んだらどいつもこいつも変わらねぇ」

赤眼に死体が映る。自嘲気味な笑みを浮かべた。

「こいつは…お前に似てる。だからめちゃくちゃにしてやろうと思った」

死体の顔をしゃがんで見詰めた。何が似ているか、自分には分からなかった。年頃か、顔立ちか。俺は死体を蹴飛ばした。

「…失礼だな。……俺の方が顔立ちは整ってる」

「…ふ、馬鹿」

「…抱くなら、俺にしろよ」

俺は匣とリングを入れたバッグを置いてザンザスの首に腕を回した。乱暴な口付けをする。

「…俺が死んだら、やっぱヤるのか」

「どうだかな」

「死体を相手にした回数よりもっとしてくれよ…で、俺が死んだら、原型無くなるまで犯して」

ザンザスはじっと俺を見詰めた。何も言わない代わりにもう一度キス。テーブルに押し付けられて首筋にキス。ネクタイがほどかれてボタンがはずされて晒されていく素肌。


俺等は死体の山の上にいた



end





090515
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