「なぁ、お前、ブラジャー、細工してんだろ。何か詰めたり、パッド的なもんとか。」


「・・・は?」


何を言いだすのかと思えばこのくそ野郎。私がやっとの思いで大半男子が好きであろう胸を作りだして、男子といい感じにコミュニケーションとれたって時に、いきなり割って入ってなんてことを言いやがるんだこのサド野郎。私と向かい合って話してた男子なんてアンタの登場にびっくりしてあたふたしちゃってるじゃない。あーもう、最悪。


「何言ってるの、沖田くん?女の子に突然そんなこと言わないでよ。」


「猫被んなよ。昔お前とヤッたときは俺の片手ですっぽり握れる―‐」
「誰がお前なんかとヤるかこのクソ野郎ォオオッ」


クソサド野郎の大嘘に我慢ならず、男子の目の前で沖田を見事に殴り飛ばしてしまった。

あぁ、男子が私を怪奇な目で見てるよ・・・あぁ、最悪。またしても彼氏候補くんを逃してしまった。



「アンタのせいで私はまた彼氏居ない暦を更新してしまったわよ。こうして1日1日・・・着実に増えていくんだわ。年齢=彼氏居ない暦がね。」

「そりゃぁ、おめでたいこって。」


先程までのびてた沖田はすっかり元気になって、今や屋上で私の隣に座ってパピコを銜えてやがる。・・・パピコ、美味しいよね。


「あーもう、何で彼氏出来ないんだろ。顔もスタイルも下の下ではないはずなのにーっ」

「偽乳だからでさァ。」


パッド詰めの私の胸を横目に沖田は言った。


「死ね、女は乳だけじゃねぇ。今や巷では貧乳ブームだってあんだぞゴルァ。」

「それはいい年いってるオッサンのマニアの話で、高校生男子たるもの、大半は乳好きでさァ。あるにこしたことはねェ。」


・・・確かに。
あるにこしたことはねェ。

なんて正直な本能のままに生きるのだろうか。高校生男子諸君よ。


「てゆうか、沖田だって年齢=彼女居ない暦じゃん。」

「でも俺はモテモテだからいいんでィ。」


その沖田の返答に、私は眉間に皺を寄せた。

だからこそ、余計おかしいと私は思う。沖田なら、彼女なんて作ろうと思えば腐るほど出来るはずだ。悔しいが、奴はすごくモテる。中の中・・・いや中の上・・・・いやいや、悔しいが、奴ァ、上の中以上のルックスを持っている。それに運動神経だって良いし、バカそうな癖に勉強だって出来る。これでモテないほうがおかしいのだ。

なのに、沖田には一度だって彼女が出来たことはない。
そんなこと、幼なじみの私なら、当然知っている。


「何で彼女作んないのよ。」

「その辺の女子高生の乳なんかには、興味ないでさァ。」


乳、かよ。
ベビーフェイスの癖に、何てこと言いやがるんだ、このクソ野郎は。
いや、ベビーだから乳が好きなのか?


「それに、好きな女以外、興味ないんで」


空になったパピコの容器を銜えて遊びながら言う沖田に、私は目を見開いて尋ねる。

「ぇ、何、沖田好きな人居んの・・・??」


私の言葉がかき消されたかのように、パピコの空の容器が、宙を舞って屋上のフェンスに音をたててぶつかった。
・・・ごみは、ごみ箱に捨てましょう。


「居るに決まってまさァ。何年も前からずっと。まぁ、ソイツは無自覚みたいですがねィ。」


久々・・・いや、初めて見る沖田の真剣な表情。沖田の大きな大きな瞳が、私を捉えて放さない。
息が、詰まる。



むにゅ。


変な擬態語に伴って、私の無い胸を沖田の手が掴む。

・・・って、ハァ??!!


「ちょッ、何」
「スキンシップ。」


いやいやいや、何言ってんだこの男は。
真顔で人の大事な胸を掴まないで頂きたい。



「俺、お前なら、こんな残念な胸でも嫌いじゃないですぜィ?」



そう言ってベビーフェイスな奴が、笑った。
あぁ、少しでもドキッとした私がバカみたいじゃない。

言うまでもなく、沖田の左頬は真っ赤に腫れあがるのであった。



スキンシップ
じゃなくて
セクハラです

これから毎日牛乳飲んでやる



2009.11.20
企画.涙墜
 
藍羅愛美
 
 
 
素敵な企画に参加させて頂き、ありがとうございました!!
なんか最近私こーゆー中2男子みたいな小説しか書いてない気がする・・・!
昔の小説のが大人っぽい文面だった気が・・・←←
まぁ、何はともあれ、楽しんで書けて良かったでございますよ、本当に←←


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