「っ・・・飛段・・・」

「ぉー」

「だ、大丈夫な、の・・・」

ズルズルと足を引きずりながら、血塗れ且つ、血をポタポタと垂らしながら壁つたいにアジトまで帰ってきた飛段。
ご自慢のオールバックはグシャグシャに崩れてて、ジャシン教ネックレスは引きちぎれてて、それどころか、体のあちこちが何かの映画の撮影か!!ってくらいにグロテスクで。
こんな飛段は初めて目にする。

「・・・どうし、たの」

「ぁー・・・ちょっとミスっちまったぜェ・・・」

何て無理に笑顔を作って誤魔化す。
こんな状態、ちょっとミスったくらいじゃならないでしょって怒りたくなったけど、今はそんな状況ではない。

何ヵ月かぶりに会えた大切な人のその姿に恐怖を覚えたのか、体が震えだす。


「・・・飛段っ」


思わずおもいっきり飛段の胸に飛び込んでしまった。ぱっくり開いた傷が痛むであろうが、飛段は一瞬眉を潜めたあと、優しい声で「心配かけて悪かったなァ」なんて笑った。


「‐―バカッ!!し・・・、死んじゃったかと思った・・・」

「俺にソレを言うかよっての」

飛段はお馴染みのそのセリフを口にする。


「だって、・・・す、すごくすごく心配したんだから・・・」

飛段のボロボロになったコートをギュッって強く握ったら飛段は私を強く抱き締めてくれた。


「ごめんなァ・・・、もう、こんな心配かけねぇからよォ・・・」





 
 
 
暖かいはずの飛段の温もりが何も感じられなくなった。

変わりに感じたのは、頬に流れる冷たい雫。


「飛段っ」


バッっと起き上がれば、そこはベッドの上。どうやら私はまた飛段を夢に見ていたらしい。


「・・・夢・・・か、」


飛段がアジトに帰ってこなくなってから約2年。未だに私は飛段への想いが捨てられずに、こうして夢を見ている。

いつだかデイダラと2人で飛段を探しに行ったときに見つけてしまった飛段の大鎌。あんなところにポツリと落ちいていた武器を見ればそれがどういう意味を表すかなんて私にだってわかった。


ねぇ、飛段。
どんな姿でも、どんなにグロテスクでもいいから、早く帰ってきて。

早く私をギュッっと抱き締めて耳元でバカみたいに笑って。

淋しいよ。飛段が頭を撫でてくれなきゃ。
淋しいよ。飛段が手を握ってくれなきゃ。





ねぇ、早く私に「おかえり」を言わせて。



彷徨った「おかえり」
貴方が帰ってくる、その時まで
 
 
 
 
 
大分昔に書いておいたもの。ジャンル拡大してやっとupできました。
このときは、本当に泣きそうになりながら、飛段を思って書いておりました。


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