『月魅に言いてぇことがあんだけどよォ』
 
『何だよ?』
 
頬を少しばかり朱に染めた飛段。
 
『俺・・・』
 
俯き加減で目を泳がせながら小さく口を開く飛段。
 
止めてよ、私、期待しちゃうじゃない。
 
 
『おい飛段、早くしろ、何をしている。』
 
『ぁ、えっと・・・・わりぃ月魅、これから任務なんだけどよォ、帰ってきたらさっきの続き、聞いてくんねぇかなァ?』
 
 
『わかったわよ、バーカ。ちゃんと生きて帰ってきて、続き、聞かせなさいよね。』
 
 
『だーかーらァ、それを俺に言うかって』
 
 
そう言ってニカっと笑う飛段を、私は少しも疑いなんてしなかった。
 
いつもと同じ、いつものように、儀式だか何だかで血塗れになって帰ってきた飛段を、私が怒って出迎えるものだと思ってた。
 
 
なのに何でなんだ?
 
飛段は一向に帰ってこない。
 
 
いくらなんでも長期任務過ぎだよ?
まさかサボってるんじゃねーだろうな?
 
 
・・・・早くしないと、続き、聞いてあげないんだから。
 
バカ飛段。
 
 
 

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