NO.6小説
ネズミ視点★その先にある未来(1)『ねぇ、君に質問があるんだけど・・・』
「は?何?」
『君は後悔していないの?』
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『怖い』とか『可哀相』とかそういう思いは全部捨ててきた。
家族はいない。育ててもらった人はいたが、今はもういない。
思い出は、お腹を満たしてはくれない。
感情があれば弱さにつけ込まれるだけ。奪うことも傷つけることも出来やしない。
家族、ましてや親しい友人などいらない。足手まといになるだけだ。
過去のしがらみは全部捨ててきた。捨てた変わりに、ここで生きていく術を得た。
一人きり。頼れるのは自分だけ。ここで生きていくと誓った。そのための犠牲は厭わないと。
それで十分だった。生きていくだけで精一杯で、それ以外のことなどどうでも良いと思ってた。
そう、あの日までは・・・
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