NO.6小説

紫イヌ★気まぐれにキス(1)


『・・・はあ、はあ。・・・・巻いたか?』



息を切らしたイヌカシ。傍には1匹の犬が、心配そうにこちらを向いている。俺は、あの日から異常にうるさく付きまとう紫苑を巻いてきたところだった。




―――――――――

前の日に何があったかは知らないが、その日紫苑は上機嫌でやってきた。そして、おもむろにこう言いだしたのだ。



「ねえ、イヌカシ。キスしよう。」

『はあ?』



何をバカげたことを。

いつもの冗談だと思っていたが、どうやら本人はその気だったらしい。じっと俺の顔を見つめたかと思ったら、ぐいと肩を引き寄せられた。



『ちょ、バカ!やめろって!』




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