NO.6小説
紫ネズ★感情がとめどなく溢れてくる(1)『いかないで・・・。』
どこか遠くへ行ってしまいそうなその背中に向かって呼びかける。
行ってほしくない。ずっと傍にいてほしい。それが正直な気持ちだ。
「お前はそこで見ていればいい。俺はNo.6を壊す。そのために生きてきたんだ。」
『だけど・・・!』
彼がNo.6を恨み、その復讐心から生きてきたのは知っている。けれど、一人で行くなんて無茶だ。彼が強く冷酷なことは少ししか一緒にいない僕にも分かる。そして、彼が本当は優しい人だということも・・・。
『ねえ、僕も一緒に行っちゃだめかな?』
その言葉に、ネズミはおかしそうに腹をかかえて笑う。
「陛下が御同行してくれるのですか?なんと心強いことか!」
芝居じみた口調で僕に手を伸ばす。僕はその手をとろうとして、そしてそのまま倒れ込む。