NO.6小説
紫苑視点★君の言葉※#9予想(1)「紫苑、無事か!?」
「わっ、ネズミその傷どうしたんだよ!」
『力河さん、イヌカシ・・・』
「と、とにかく移動するぞ!そいつは俺が運ぶ。イヌカシは紫苑に肩貸してやれ!」
あの日、強制施設から命からがら逃げ出してきた僕達。待っていてくれたイヌカシと力河さんに連れられて、僕達はホテルへと移動した。
決して清潔とは言えないベッドに、その体を横たえる。一刻の猶予もない。傷口に当てた布もみるみる赤く染まる。
『ネズミ!今傷を手当てするからね!』
本当はちゃんとした医者に見せて、設備の整った場所で治療を行うべきなんだろう。だけど、今は僕しかいない。僕にしかネズミを救えない。
僕は慎重に傷口を手でなぞった。