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Don't spill it/1


今年もあと1ヶ月で終わろうとしている11月下旬。


風邪気味のボクを寮に残して、

ひとりショッピングに出かけた翔ちゃんが部屋に帰ってきました。




「ただいまー、っと。はぁ、寒かったー」


「あ!!翔ちゃん、おかえりなさいっ」


----ぱたぱたぱたぱた。


「おー、那月。なにやってんだよ、起きてて大丈夫なのか?」



駆け寄ったボクを心配して、大きな目を見開いている翔ちゃん。



「もう熱も下がったし、ごはんも食べられるようになりました。

今は、遅れちゃった分の課題をやっていたところです」



「ああそっか、あんま無理すんなって言いたいとこだけど

・・・それ冬休みまでに終わらせなきゃだもんなぁ」



編曲の課題が数曲。

提出が間に合わなかったらクリスマスも冬休みも、

登校しなきゃいけなくなっちゃうんです。

そしたら翔ちゃんと、一緒にいる時間が減っちゃうじゃないですか!!

そんなのイヤだから、絶対終わらせなきゃなんですっ。



「いやー、それにしてもS駅。


なんかイルミネーションが始まったとかなんとかでさ、

すげー人込みだったぜ?オマエは行かなくて正解だったかもな」



「えぇぇぇ?!イルミネーション?!


行きたい行きたい、翔ちゃんと絶対行きたいですーっ!!

あーもう、夜はすっごく綺麗なんだろうなぁぁぁ」



「は?!何いってんだよ、夜は寒いなんてもんじゃねーぞ」


「大丈夫ですよ、コートにマフラーに手袋、それにホラ。


こーやって腕を組んで歩けば暖かいでしょう?」


うふ

きっと隣を歩く翔ちゃんは イルミネーションに照らされて

お星様みたいに きらきら綺麗なんだろーなぁ

うふふふ。



「うふふじゃねーよ。カップルばっかなんだぜ、それは絶対無ぇーっ。

つか、離せ!

・・・ま、約束してもいいけど、早く風邪治せよな」


「はぁーーーい」


そうですね、12月は楽しいこといっぱいの季節。

風邪さんとは 早くサヨナラしておかなきゃです。



「あ、そーだ。これ土産」


ひとつ、翔ちゃんから手渡された紙袋。


中に入っていた、白い箱を開けると 並んでいたのは

カスタードの覗くシュー生地。

間に挟まれた四角いパイ生地が特徴的なそれは・・・



「はぁぁぁぁぁッ♪

もしかしてコレはS駅のデパ地下限定、釜出しパイカスター?!」


パリパリのパイ生地と砂糖をふりかけて焼いたシュー生地の

見事なコラボレーション。

一口いただくと、ボクの大好きなカスタードクリームが

中からとろっと溢れて、とっても美味しいんです!!!



「おー。オマエが喰いたいって言ってたの思い出してさ。

病人に甘いもんてどうなんだよ、とは思ったけど

ちょうど通りかかったし」


えぇぇぇぇ?!嘘、うそ。

そのお店は並ばないと買えないほど人気なんですよ。

ってことは、ボクのために並んで買ってきてくれたんだ。


「やっぱり翔ちゃん、だいだいだーいすきです♪

さっそく紅茶煎れますから、一緒にいただきましょう」





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