「大丈夫。大丈夫だよ、澪。僕も恭弥兄も、ずっとずっと澪の傍にいるから――澪を苦しませたりなんて、しないから」


「聞こえざる聲」に身体を小刻みに震わせる妹を抱き締め、幾度も幾度も「大丈夫」と繰り返し言葉を紡いだ。何が「大丈夫」なのかなんて、解らないけれど。それでも、ただただ妹をこの苦しみから解放してあげたくて、自分では感じてあげる事の出来ない恐怖から抜け出させてあげたくて、幾度も言葉を紡ぐ。
兄のように、妹に手を出す者から助け出してあげることも、「聲」を聞かせないようにしてあげることもできなくて。「自分は何のために『此処』に産まれたのだろう」と、悔しくて涙が溢れ出る。親という存在なんて、認めたく、ない。
抱き締める腕に力が篭る。「澪、」


「ごめんね…、僕、何もできなくてごめんね…」


無力な姉を、どうか赦して――。














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